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サラリーマン時代の蓄えだけで起業した若者 前の会社で実現できなかったこと

開発したシステムで使うVRゴーグルを手に意気込みを語る佐々木章太さん(右)と村永渉太さん=東京都内で2020年3月24日午後2時38分、吉田卓矢撮影

 脱サラした27歳の男性が融資を一切受けず、サラリーマン時代の蓄えだけで会社を設立し、自分で開発した物流会社向けシステムの販売を始めた。バーチャルリアリティー(VR=仮想現実)動画を使ったトラックドライバー向け安全教育システムで、監査用書類も自動作成できる。会社は10日に設立されたばかりだが、すでに東北地方の大手物流会社の事業所が導入を決めた。起業までの道のりを追った。【吉田卓矢/統合デジタル取材センター】

 この男性は大手物流会社を2019年12月に退職して、新会社「WacWac(ワクワク)」(東京都練馬区)を設立した佐々木章太さん。丁寧な言葉遣いと絶やさない笑顔が印象的だ。会社の理念は「ワクワクを日常に」だという。24日に都内の開発現場を訪ねると、完成したばかりのVR映像を見せてくれた。

 専用ゴーグルを装着すると、自分がトラックを運転しているかのようだ。信号付きの交差点で右折する直前の場面から始まる。対向車線の車が遠くから近づいて来ている一方で、右側の横断歩道を歩行者が渡っている。歩行者が渡り終えるのを確認してから対向車が来る前に急いで右折すると突然、同じ横断歩道を反対側から渡ってきた別の歩行者がトラックの側面にぶつかって倒れる姿がサイドミラーに映った。

 ぶつかった歩行者は直前までサイドミラーの視界には入ってこなかったが、右側を目視していれば確認できたはずだった。一瞬の気の緩みが事故につながる恐ろしさを実感し、身が引き締まった。

 続いてこの事故の状況を車内外から見た検証動画とドライバーの心理状態、気をつけるべき点などの解説が音声で流れた。さらに、関連法令などに関する質問が1問出題され、ゴーグルについたボタンを押して答えるとそれに対する解説も流れた。

 時間は全体で3分程度だ。動画はこのほか、過積載や車間距離を詰めたことによる事故など計12種類が用意されている。

 これらの動画は、国土交通省の指針で定められた12項目の安全教育に対応している。過去の事故データやトラックドライバーらへの聞き取りを元に、項目ごとに起こりやすい事故を選んだ。動画を見たドライバーの学習履歴は全て記録され、社内や国交省の運輸局による監査の際に提出しなければならない書類が自動作成される。

 佐々木さんは大学卒業後に大手物流会社へ就職し、配車業務や物流コンサルティング、営業などを担当した。起業を意識し始めたのは約2年前だ。作家の井上篤夫さんがソフトバンクグループ…

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吉田卓矢

1976年生まれ、兵庫県明石市出身。2005年入社。奈良支局、高松支局、大阪科学環境部、福井支局次長、水戸支局を経て、2019年秋から統合デジタル取材センター。原発や震災・防災、科学・医療などを中心に取材してきた。

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