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日本人留学生受難 奨学金停止、すぐ帰国できず… 文科省「柔軟対応」転換も不安消えず

「欠航」の文字が並ぶ成田空港の国際線出発ロビーの案内板=千葉県成田市で2020年3月19日、中村宰和撮影

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、日本人留学生にも打撃を与えている。感染のリスクに加え、奨学金停止の可能性や帰国手段確保の難しさ、帰国時の2週間待機の場所・費用の手配など難問が山積する。留学中断がキャリア形成に与える影響も不透明だ。萩生田光一文部科学相は24日、国会で奨学金などに関し「柔軟対応」を約束したが、若者たちの不安は残る。【中里顕、一宮俊介/西部報道部、和田浩明/統合デジタル取材センター】

日本到着まで2週間各地を点々 移動中に差別的発言も

 新型コロナウイルス感染による死者数が1万人を超え、世界最悪となったイタリア。北部ベネチアの大学で2019年9月から政治学を学んでいた早稲田大大学院生の女性(23)=埼玉県在住=は、イタリア滞在歴を理由にした航空会社の搭乗拒否や欠航のため、出国から帰国まで半月かかった。

 早稲田側の指示で今年6月までの留学予定を切り上げ、3月5日にイタリアを出たが、日本への帰国便がなかなか見つからなかった。アムステルダム(オランダ)、ブリュッセル(ベルギー)、ウィーン(オーストリア)とバスで転々とし、ウィーンからドバイ(アラブ首長国連邦)便に搭乗できたのが16日。さらに3日間、日本行きの便の空席を待ち、20日夕方、成田空港にたどり着いた。

 移動費や滞在費などが膨らみ、クレジットカードの利用上限額に達した。ヨーロッパ移動中は「死ね」「コロナウイルスか」などと差別的な発言を受けた。帰国後、知人から言われた「こんな時期に留学をして危機管理がなっていない」という一言も胸に刺さる。「せめて母国では帰国した留学生を差別しないでほしい」

ハードル高い帰国後の「14日間待機」

 感染者が8万7000人以上、死者も7700人を超えたスペインのバレンシア州立工科大に留学中だった名古屋工業大3年の沢井涼さん(21)は、23日に成田に到着した。ツイッターを通じた毎日新聞の取材に「航空券やホテル、留学先でのアパートのキャンセル料など、緊急帰国のための費用は自費。経済的な問題を抱え帰国できない留学生は多い」と訴えた。

 沢井さんによると、3月16日に日本の外務省がスペイン全土での感染症危険情報をレベル2(不要不急の渡航自粛)に引き上げたことで、翌17日に名古屋工業大から帰国指示があった。21日に出国。成田空港の検疫所では「14日間の指定場所(自宅やホテルなど)での待機」「公共交通機関の利用禁止」「毎日の健康状態チェック」を求められた。

 検疫所からのこの指示は、首都圏以外に自宅がある留学生にとってハードルが高い。ウイルス拡大による減便で、欧州などからの便は現在、ほぼ成田空港にしか到着しないからだ。ネット上では留学生の「公共交通機関を使えないと地元に帰れない」「ホテルなどに滞在するお金がない」といった悲鳴も伝わる。

奨学金継続求め署名活動

 ポーランドの首都ワルシャワの大学に関西の大学から留学中の高松秀徒さん(22)は「帰国便や待機場所の費用は自分にはまかないきれない。日本政府などに支援してほしい」と訴える。

 高松さんと有志の留学生は、現地にとどまる判断をしたり、帰国して航空券や待機場所の費用など追加の負担を強いられたりした日本からの留学生のために奨学金継続を求め、ネット上の署名サイトで21日から賛同を呼びかけてきた。日本学生支援機構などからの奨学金支給は、「感染症危険情報」の「レベル2」以上の国・地域(24日で41)で停止される規定になっていたからだ。「本人の身の安全を確保するため、速やかな帰国を促す趣旨」(同機構)だったという。

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和田浩明

1991年4月入社。英文毎日編集部、サイバー編集部、外信部、大阪社会部を経て2003年10月から08年3月までワシントン特派員。無差別発砲事件、インド洋大津波、イラク駐留米軍や大統領選挙を取材。09年4月からはカイロに勤務し、11年1月に始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」をチュニジア、エジプト、リビア、シリア、イエメンで目撃した。東京での中東、米州担当デスク、2度目のワシントン特派員などを経て2019年5月から統合デジタル取材センター。日本社会と外国人住民やLGBTなどの今後に関心がある。

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