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特集ワイド

「森友問題スクープ」 相澤冬樹・元NHK記者 自殺職員、手記で「新事実」 原点に返れ 与良専門編集委員が聞く

 真面目にコツコツと働いてきた公務員が上司の指示で手を汚し、それを悔やんで命を絶った――。近畿財務局の上席国有財産管理官だった赤木俊夫さん(享年54)だ。学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざん問題で最大の犠牲者といえる。そんな赤木さんがつづった手記や遺書を遺族から託され、いち早く「週刊文春」で報じたのが元NHK記者、相澤冬樹氏(57)だ。毎日新聞の与良正男専門編集委員が直撃し、森友問題の本質を探った。【構成・宇田川恵、写真・内藤絵美】

 ――赤木さんが2018年3月に自殺し、遺書が残されていることはほぼすべてのマスコミが知っていたが、誰も入手できなかった。遺族は今回、国と佐川宣寿・元国税庁長官に計約1億1000万円の損害賠償を求めて提訴に踏み切り、手記も公表しました。それがまず相澤さんに託されたというのは、長く遺族に寄り添い、信頼を得たからですね。

 ◆私はNHK大阪放送局で森友問題を取材し、スクープを放送した後、報道部門から外されました。そして取材を続けるためにNHKを辞めた。そのことをどこかで知った赤木さんの奥さんから連絡をもらったのは、赤木さんが亡くなって8カ月ぐらいたった頃です。

 奥さんは手記を初めて読んだ時、夫がその内容を世の中の人に伝えてほしいと望んでいることが分かったそうです。しかし、心ない扱いを受けてきた財務省、そしてマスコミの取材攻勢が怖かった。ただ、このままでは闇に葬られてしまう。誰かに託そうと、私に会ってくれたのです。だが、手記の内容に私があまりに興奮したので、彼女はちょっと引いてしまい、その時は渡すのをやめてしまった。実は、彼女は手記を渡したら、夫の後を追うつもりだった、渡さなかったことで自殺を思いとどまった、と後で聞きました。

 ――手記を公表できて、奥さんはホッとしているのでは。

 ◆提訴直後の23日、参院予算委員会で森友問題が審議されている時、奥さんからLINE(無料通信アプリ)でメッセージが届きました。通院している病院の待合室にいたそうです。<(テレビで)国会中継流れています。音は聞こえにくいですが夫の手書きの遺書が大きく映し出されています。うまく聞こえないのにみんながテレビに釘(くぎ)づけになりました。一生忘れられない光景です>と。多くの人が共感してくれて、うれしいんですよ。2年もためらってきたけど、思い切って公開してよかったと思っているはずです。

 ――赤木さんの手記が明らかになっても、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相は「再調査はしない」と言っています。

 ◆私は「再調査しない」という言葉より、その前段の「新たな事実はない」と言い切ったところに引っかかりました。一般の国民にとっては、「すべて、佐川理財局長(当時)の指示です」という内容をはじめ、今まで聞いたこともない事実が書いてあると、ふつうに思いますよね。でも、安倍首相や麻生財務相にとっては新事実はないんです。つまり、手記そのものも含め、もうとっくに知っている話なんでしょう。

 ――そもそも、なぜ佐川氏は決裁文書を改ざんしようとしたのか。さらに、国有地がなぜ約8億円も値引きされて学園に売却されたのか。この二つの核心部分はいまだに明らかになっていません。まず、なぜ改ざんが行われたと思いますか。

 ◆いかにあの土地取引がまずいと財務省の官僚たちが思っていたか、ということでしょう。佐川氏も若干、かわいそうだなと思うのは、彼は部下たちに文書の改ざんはさせましたが、土地取引には関わっていなかった。やはり、改ざんのもととなった土地取引をきちんと調べないといけません。

 土地取引を実質的に行ったのは、赤木さんの直属の上司だった統括官(当時)だとされています。今回初めて取材で判明したのですが、この上司は「8億円値引きの根拠は…

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