メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

クルド人男性「どうか助けて」 入管収容中「精神的暴力受けた」自殺未遂繰り返す

記者会見で入管の処遇の問題を訴えるデニズさん=参院議員会館で2020年3月26日午後3時10分、井田純撮影

[PR]

 東日本入国管理センター(茨城県牛久市)収容中に職員から暴行を受けたとして、国家賠償訴訟を起こしているトルコ国籍のクルド人男性、デニズさん(41)が26日、参院議員会館で記者会見した。デニズさんは、健康上の理由などで一時的に拘束を解かれる仮放免措置を受け、24日に同センターから解放されたばかり。デニズさんは2007年に来日、11年に日本人女性と結婚したが、在留資格を得られず、国外退去処分を受けて16年に収容された。現在も難民認定を求め、母国の親族が迫害を受ける恐れがあるとして姓は公表していない。

会場では、デニズさんが仮放免後に知人たちの出迎えを受ける動画も上映された=参院議員会館で2020年3月26日午後2時59分、井田純撮影

 支援者らによると、デニズさんは2月21日から仮放免までの約1カ月の間に、自ら首を絞めるなどして10回の自殺未遂を繰り返していた。収容中にデニズさんはさまざまな種類の睡眠導入剤、抗精神病薬などを処方されており、「死にたいと思ったわけではないのに、意識もないまま自殺を試みて、病院で目が覚めたことがある」と話した。

 代理人の大橋毅弁護士は「多くの収容者が、長期収容と不当な処遇で心を病んでいる。彼以外の収容者も、正常な意思ではなく自傷行為を行っているのではないか」と指摘した。認定NPO法人・難民支援協会によると、17年に7件、18年に9件だった同センターでの自傷行為は、昨年には26件に急増。今年は、2月12日までで9件に上っているという。

 また会見前には、デニズさんが国に賠償を求めている事件を巡って、少なくとも7人の入管職員がデニズさんを力ずくで押さえつける昨年1月の動画が上映された。入管が撮影したこの動画は、裁判所の求めに応じて国が証拠として法廷に提出したもので、職員が馬乗りになって後ろ手に手錠をかけたり、デニズさんの首の部分を指で突きながら「痛いか、痛いか」などと怒鳴りつけたりする場面が収められている。

 2月までの審理で国側は、手錠をされたデニズさんの腕をひねり上げるなど、入管職員に「不当な行為があった」ことを認めたものの、「違法ではなく賠償責任はない」と主張している。大橋弁護士は「不当行為を認めながら、精神的苦痛に対するリハビリが行われたわけでもなく、職員の処分があったとも聞かない。それどころか、暴行した職員が引き続き処遇を担当し、デニズさんの脇を通る際にわざと身体に触れるような挑発まで行っているという。自分に不当な暴力を加えた人間にずっと拘束されることが精神にどんな影響を与えるか、他に例が思いつかない状態だ」と厳しく批判した。

仮放免されて妻と再会できた喜びを涙ながらに語るデニズさん=参院議員会館で2020年3月26日午後3時11分、井田純撮影

 デニズさんは「私以外にも収容されている人はたくさんいるので、入管のことを伝えたい。暴力だけでなく、精神的暴力がとてもひどい。どうか助けてください」と訴えた。

 この日、デニズさんの処遇を含む入管問題について参院予算委員会で質問を行った石川大我議員(立憲民主)は、「この件は外国人だけの問題ではなく、私たちの民主主義のあり方が問われている。森雅子法相は、収容施設内の状況を把握するために、入管職員だけでなく、収容されている外国人の声も聞いてほしい」と話した。【井田純】

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 摂津市、事務ミスで1500万円過大還付 60代男性「使ってしまい、返還困難」

  2. 大阪モデル基準変更 吉村知事「誤解与えないため」、山中さん「信頼揺らぐ」

  3. 「アベノマスク着用」 中学校で配布プリントに記載、保護者に謝罪 埼玉・深谷

  4. 「政権の終わりが見えた」支持率急落、自民主流派も首相を公然と批判

  5. 板挟みで「心がおかしくなりそう」 給付金窓口で矢面に立つ派遣社員の叫び

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです