メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

三浦雅士・評 『人と思想 三島由紀夫』=熊野純彦・著

 (清水書院・1320円)

 小型本だが、評伝として傑出している。はじめに高橋和巳の三島由紀夫論を引いて、読者を一気に1960年代のただ中に引き込む。当時左右両翼の代表選手だったこの二人は69年に対談もしている。70年、三島は45歳で自刃、71年、高橋は39歳で病死。72年、三島の師ともいうべき川端康成が72歳でガス自殺。まさに時代の転換点だ。ぐいぐい引き込んで離さない筆力のまま、「高橋は時節に殉じて作品とともに消え、三島が時代を超えて生きのこった」と著者は書く。それはなぜか、と。

 問いを深めるように、著者はさらに序章「一九七〇年十一月二十五日」を設ける。三島が楯(たて)の会有志とともに自衛隊市ケ谷駐屯地総監室を占拠、自決した日である。三島の担当編集者や父・平岡梓らの著書を引いて、前日、当日、翌日と克明に追い、事件の喧騒(けんそう)と、遺書のごとくに残された『豊饒(ほうじょう)の海』大尾の文章の静謐(せいひつ)を対比している。これも謎だ、と。

この記事は有料記事です。

残り1074文字(全文1500文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 虫歯治療後に2歳死亡 福岡の小児歯科元院長を近く在宅起訴へ

  2. 「やる気ないなら担当変える」河野行革相、放送規制改革で文化庁に発破

  3. 安倍政権が残したもの 私たちが大事「彼ら」は攻撃 オウム真理教報じた江川紹子さんが読む「カルト化社会」

  4. 「首相、今井、佐伯で決めていたやり方がらっと変わる」 キャリア官僚の本音 菅政権で沈む省庁

  5. 安倍前首相の師、加藤節さんが嘆く哲学の欠如 前政権で始まった「政府の暴走」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです