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ストーリー

尼崎脱線15年 生還男性の人生(その2止) 最期の乗車位置探す

 

 この日の講演には「相棒」がいた。

 JR福知山線脱線事故から14年半が経過した昨年11月28日。JR東日本高崎支社が主催した安全フォーラムに登壇したデザイナーの小椋聡さん(50)の隣に、兵庫県宝塚市の浅野千通子さん(41)が座った。

 2005年4月25日午前9時18分。JR福知山線の尼崎駅近くで7両編成の電車が脱線した。小椋さんと浅野さんが乗っていたのは2両目だった。事故で小椋さんは右足を骨折。浅野さんの骨盤は砕けた。しかも回復の兆しが見え始めた事故から約3年後、浅野さんは重度のうつ病を発症した。2人が運転士や車掌らを前に訴えたのは、事故で苦しむのは当事者だけではなく、その家族や恋人、友人らといった周りの人の人生をも狂わせてしまうことだった。静まり返った会場。運転士を指導する男性社員は「2人の経験や思いを伝えることによって『命』という言葉の重みが増す気がします」と感想を語った。

 小椋さんの証言。座席で寝ていたが「ガタガタ」という振動と共に車両が揺れて目を覚ました。体が宙に浮き、周りにいた乗客が飛ばされていく。まるでプラスチックの卵パックを手で握り潰すように、空間が一気にめちゃくちゃに壊れていった。僅か数秒間の出来事だった。

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