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余録

20世紀初めに前衛芸術の旗手とされた仏詩人…

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 20世紀初めに前衛芸術の旗手とされた仏詩人、ギヨーム・アポリネールの名を冠して「アポリネール病」と呼ばれた病気がある。世界で3000万人以上の死者が出たというスペイン風邪のことである▲彼はこの流行で死去し、他にも画家のエゴン・シーレ、クリムト、社会学者のウェーバーら、病魔は多くの才能を人類から奪った。日本では劇作家の島村抱月(しまむらほうげつ)が亡くなった後、人気女優の松井須磨子(まついすまこ)が後追い自殺して世人を嘆かせた▲昼前の訃報(ふほう)に、思わず「エッ」と声をもらした方も多かろう。新型コロナウイルスによる肺炎で闘病していたコメディアンの志村(しむら)けんさんが亡くなった。発熱や呼吸困難で20日に入院、23日に感染が判明してから、6日後の逝去(せいきょ)だった▲「お茶の間」が今や死語なのは、その中心にあったテレビが家族の誰でも分かち合える笑いを送り出した時代が去ったからだろう。昭和から平成にかけ、そのコントの芸で「お茶の間のテレビ」の笑いの頂点を極めた志村さんである▲「子どもや年配の人、30代の働き盛りも、みんな笑わせ、ほっとさせるのがお笑い」。近年は舞台でも気をはいたそのコント道だった。さらに映画の初主演、NHK朝ドラ出演で新境地を開こうという矢先のコロナ禍での悲運である▲子ども時代、厳格な父がテレビのお笑いに声をあげて笑うのを見て、この道を志した志村さんだった。人々が不安を抱えて家にこもる今、家族を一つにする笑いが求められるさなかに奪われたコント王の才である。

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