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SUNDAY LIBRARY

岡崎 武志・評『暗い林を抜けて』『谷根千のイロハ』ほか

◆『暗い林を抜けて』黒川創・著(新潮社/税別1900円)

 黒川創は京都生まれの作家で、評論の分野では『鶴見俊輔伝』で大佛次郎賞を受賞。『暗い林を抜けて』は最新の長編小説。いくつもの視点や時間が折り重なる複雑な構造で成り立っている。

 主人公は通信社の記者・有馬章。若い頃、結婚に失敗し、2人目の妻との間に男児が生まれた。大腸がんの手術をし、再発を恐れながら「『戦争』の輪郭線」という長期特集記事に取り組む。これが最後の仕事になりそうだ。

 有馬が関わった女性たちの人生、奈良の老画家のシベリア体験、あるいは湯川秀樹の日記に現れる「原爆」の記述。そして東日本大震災。「現代」の諸相とそこに生きる人間たちの群像劇が、有馬を扇の要にして叙述されていく。

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