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新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。政府は今は緊急事態宣言を出す段階にないとの判断を示しているが、今後の状況次第では検討が必要となるだろう。
一つの鍵を握るのが東京都の状況だ。小池百合子都知事の記者会見では、政府のクラスター対策を担う専門家が「感染者の指数関数的増加の兆候はあるが、爆発的増加でない」との分析を示した。
専門家は感染爆発の兆候を見極める指標を検討中で、予兆を見逃さないことが大事だ。この指標は緊急事態宣言の判断にも影響するだろう。国民が理解し納得しやすい形で示してほしい。
一方、医療体制をみると地域によってはぎりぎりの状況にある。都内には感染症指定病床が118床あるが、すでに患者数がこれを上回っている。さらなる患者の増加にともない、首都圏でのベッド数の不足は深刻になるだろう。
小池知事は500床を確保し、今後、4000床まで受け入れを増やすと表明した。それには一般医療機関での患者受け入れが必要で、早急に準備を進めるべきだ。
高度な医療体制と人材を持つ大学病院などにもぜひ協力してもらいたい。院内感染防止の体制整備や人材・装備の確保も欠かせず、自治体の支援が求められる。
さらなる患者の増加に対応するには、軽症・無症状の感染者に自宅や宿泊施設で過ごしてもらう必要もある。そうしなければ重症者の医療が確保できない。
厚生労働省は、地域で感染が拡大した場合に軽症・無症状者を自宅療養とするとの原則を示している。今後は自治体に判断を任せず、早急に明確な方針や具体的なガイダンスを示すべきだ。
利用可能な施設のリストアップも急務だ。東京オリンピック用に準備された選手村などの有効活用も考えてほしい。治療の必要性に応じて入院先や滞在先を振り分ける「大阪方式」も参考になる。
自分だけは大丈夫と思う人が多ければ、イタリアやニューヨークなどで起きている医療崩壊が日本でも現実となるだろう。ここまで持ちこたえた日本だからこそ、高齢者から若者まで、感染リスクが高い「密閉空間・密集場所・密接な会話」をしっかりと避け、医療を支えたい。
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