出口見えぬコロナショック 景況感さらに冷え込みも 日銀短観11年ぶり悪化

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普段は多くの観光客であふれる浅草の仲見世通りは人通りもまばら。多くの店が臨時休業となっていた=東京都台東区で2020年3月27日、高橋祐貴撮影(画像の一部を加工しています)
普段は多くの観光客であふれる浅草の仲見世通りは人通りもまばら。多くの店が臨時休業となっていた=東京都台東区で2020年3月27日、高橋祐貴撮影(画像の一部を加工しています)

 日銀の3月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業・非製造業の業況判断指数(DI)がリーマン・ショック後の2009年3月以来11年ぶりの悪化幅を記録するなど、新型コロナウイルスの影響で企業マインドが急激に冷え込む実態を明らかにした。ただ、欧米の感染拡大による世界経済の停滞はまだ織り込まれておらず、現状の景況感は更に悪化している可能性が高い。運転資金不足に陥った中小企業が資金繰りで頼る地銀などの金融機関は、感染拡大が長引けば体力を奪われかねない。

悲観一色「リーマン・ショック超える打撃も」

 東京都が週末の外出自粛を要請した2日後の3月27日。いつもにぎわう東京・浅草の仲見世通りからは人影が消え、金曜日なのに土産物店には臨時休業を知らせる張り紙が目立った。名物の人形焼き店によると、この日の来客数は例年に比べ9割減。中国からの観光客が減った2~3月中旬は2割減程度で済んでいたが、日本人の客足まで途絶え売り上げが一気に消えた。処分するのはもったいないため、通常600円(10個入り)の商品を250円で投げ売り。60代の店主は「こんなの初めて。先行きがまるで見えない」とぼうぜんとした。

 3月短観では、大企業・非製造業の「宿泊・飲食サービス」と遊園地などの「対個人サービス」のDIが、04年3月に調査対象に加わってから最大の悪化幅を記録。「宿泊・飲食サービス」は前回から70ポイント悪化した。感染の震源地である中国からの観光客の急減や、国内のイベント自粛などの影響が如実に表れた。

 ただ3月短観では、企業の約7割が3月11日までに回答しており、東京オリンピック・パラリンピックが延期され、首都圏の都市封鎖(ロックダウン)の現実味が増した3月下旬以降の悪材料は織り込まれていない。大企業・製造業のDI悪化幅がさほど大きくないのも、トヨタ自動車やホンダなど大手自動車会社が国内での生産停止を決定し始めた3月中旬以降の動きが反映されていないためとみられる。

 足元では大手メーカーの生産停止のしわ寄せで、部品メーカーの需要が吹き飛びつつある。滋賀県竜王町に金属熱処理加工の工場を置く国友熱工(東大阪市)では、3月の自動車、建設機械向け部品の受注が前年同月に比べ約2割減少し、単月の収支は赤字となった。通常3カ月先まで受注があるのに今は5月以降がゼロで、12基ある加熱炉のうち2基の稼働を止めている。坪田輝一社長(55)は「世界各地の生産停止で受注が更に減る恐れがある」と肩を落とす。

 愛知県内の自動車部品メーカーも、3月の売上高が前年同月比で1割減少。4月以降は4割減に悪化すると予測しており、週5日の出勤日を1日程度減らすか検討している。社長(61)は「4割減が3カ月、半年と続けば、リーマン・ショックを超える打撃になる」と話した。

 3月短観では大企業・製造業「自動車」のDIは6ポイント悪化のマイナス17となり、東日本大震災後の11年6月(マイナス52)以来の低い水準に。悪化は4期連続だ。宿泊・飲食サービスなどに比べれば「軽傷」で済んでいるが、3月中旬以降の世界的な需要減と生産停止が長引けば、傷口が大きくなるのは避けられない。

 リーマン・ショック後の世界同時不況は、中国の大規模な財政出動などで持ち直した。東日本大震災後も東北の復興需要で日本経済は回復に向かった。だが、コロナショックでは感染拡大を封じ込めるまで世界経済は動きを止め、ただ我慢するしかない。

 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「3月短観は、新型コロナの影響を示すものとしては『中間報告』にとどまる。非製造業、…

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