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ロックダウンされた海外の日常… 米の87%が外出制限、インドは物流滞り混乱

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人影がほとんどなくなった観光地のタイムズスクエア=米ニューヨークで2020年3月31日、隅俊之撮影 拡大
人影がほとんどなくなった観光地のタイムズスクエア=米ニューヨークで2020年3月31日、隅俊之撮影

 新型コロナウイルスのさらなる感染拡大を防ぐため、各国でロックダウン(都市封鎖)の動きが広がっている。具体的にどのような措置を取り、市民活動を制限しているのか。米ニューヨーク州やドイツ、インドの現状をまとめた。

「眠らない街」ニューヨーク 人影なく

世界で広がるロックダウン 拡大
世界で広がるロックダウン

 米国では、全米50州のうち30州以上と首都ワシントンで何らかの「在宅命令」が出ている。米CNNによると、国民の87%が外出制限下にある。全米最大の都市ニューヨークがある東部ニューヨーク州は、3月22日夜以降、企業などに全従業員の出勤禁止を命じ、市民には外出自粛を求めた。飲食店の店内営業も禁じ、学校も全面休校にするなど段階的に制限を強めてきた。

 出勤できるのは、医療や金融、公共の交通機関など生活に不可欠な業種に限られる。それ以外の業種で違反すれば、罰金や事務所閉鎖などの罰則が科される。市中心部マンハッタンではビジネスマンの姿が消え、五番街などでもシャッターが目立つ。「眠らない街」の面影はない。

 飲食店での持ち帰りや宅配は認められるため、高級ステーキハウス「ベンジャミン」が1ポンド20ドル(100グラムで約470円)の格安でステーキ肉を販売するなど懸命に営業している。

マスク姿で、一定の距離を置いて会話する市民=米ニューヨークで2020年3月31日、隅俊之撮影 拡大
マスク姿で、一定の距離を置いて会話する市民=米ニューヨークで2020年3月31日、隅俊之撮影

 市民は食料品の買い出しや気分転換のための散歩はできる。条件は、他人と約1・8メートルは離れる「ソーシャル・ディスタンス」(社会的距離)を守ること。スーパーは店内の客数を制限し、順番待ちの客は店の外で並ぶ。地面に1・8メートルごとに目印が引かれており、その上に立って順番を待つのは日常になった。

 散歩も、州は原則として一人で出かけるよう求めている。市は公園に人が集まるのを避けようと一部の道路を「歩行者天国」にした。スポーツジムも閉鎖されたため、自宅で学べるオンラインのヨガなどが人気だ。

 ただ、出勤禁止は罰則がある「命令」だが、市民の外出自粛はあくまで「要請」。このため、一部の若者の中には要請を無視し、公園でバスケットボールに興じたり、バーに隠れて集まり、酒を飲んだりギャンブルをしたりする者も出ている。

 感染者数の増加に歯止めがかからないことにしびれを切らしたクオモ州知事は1日、公園内のコートや遊具の閉鎖を発表。ニューヨーク市のデブラシオ市長も、集団で集まった場合は罰金を科す方針を示している。【ニューヨーク隅俊之】

独は外出禁止せず 家族以外の人と「接触制限」

 ドイツは南部バイエルン州など一部の州で外出制限を行っているが、感染拡大が深刻なイタリアやフランスのように全国的な「外出禁止令」は出していない。人々の行動基準となるのは、独連邦政府と各州が3月22日に合意し、同居家族ら以外の人との接触を必要最低限にすることを定めたガイドライン。人と一定の距離を保つことを条件に、通勤や買い物、散歩や個人の運動が認められているが、一部の州は違反者に罰金を科している。

 ガイドラインは、公共の場では、家族以外のメンバー3人以上で集まることを禁じ、人との距離も最低1・5メートル保たなければならない。このため多くのスーパーマーケットでは、店内の客数を制限したり、レジ前の足元に約2メートル間隔で目印のテープを貼ったりして、他人との距離を取るよう促している。

 ガイドライン違反者への対応は州によって違うが、例えばバイエルン州では他人との距離を定めたルールに反すると150ユーロ(約1万8000円)の罰金が科される。

 スーパーや薬局などを除く小売店、宅配や持ち帰り以外の飲食店はすべて閉店。映画館や博物館、公園も閉鎖されている。他者との接触を避けるため、在宅勤務も推奨されている。

 首都ベルリン市内の通りでは、これまでと同じく、ジョギングや犬の散歩をする市民の姿が見られる。ただガイドラインが出た後は、歩行者とすれ違う際、道路の端に寄る人や、散歩中に遭遇した知り合いと1・5メートルの距離を取って大声で言葉を交わす人も目立ってきた。

 ガイドラインは自宅での私的なパーティーも禁じた。当局は当初、バーやナイトクラブを閉鎖し、不要不急の接触自粛を呼びかけたが、若者らが自宅や屋外でパーティーを開く事態が相次いだためだ。当局はこうした「コロナパーティー」が感染拡大を招くとして、自粛要請から禁止に切り替えた。メルケル首相は「これは勧告ではない。規則だ」と順守を求めた。

 一方、連邦と各州は、閉鎖や休業で打撃を受けるバーやレストランなど零細企業・自営業者に対する緊急措置として、事業規模に応じ家賃や光熱費を補助する。【ベルリン念佛明奈】

全土封鎖のインド 都会の労働者「大移動」で混乱も

ロックダウンで閑散とする商店街=ニューデリーで2020年4月1日、松井聡撮影 拡大
ロックダウンで閑散とする商店街=ニューデリーで2020年4月1日、松井聡撮影

 世界第2位の13億人を抱えるインドでは、3月25日から今月14日まで全土で封鎖が続く。封鎖期間中、食料の買い出しなどを除いて外出は禁止だ。食料品店や薬局など生活に必要な最低限の店舗を除いて閉鎖され、公共交通機関も停止した。一方、封鎖のあおりで失職した労働者が郷里の農村に歩いて戻ろうとしたり、物流が滞り食料品店が品薄になったりするなどの混乱も起きている。

 首都ニューデリーでは、封鎖開始から数日間、大きな荷物を抱えた労働者が、車通りがほとんどない道路を歩く姿を頻繁に目にした。親族が待つ郷里に向かう失職した建設作業員、タクシー運転手、飲食店従業員やその家族らだ。「突然仕事がなくなった。我々のような労働者は日々生きていくのが精いっぱいで蓄えなんてない」。ニューデリーから北部ウッタルプラデシュ州の農村まで3日かけて歩く予定の元建設作業員のラジニーシュさん(22)はため息をついた。バスを手配して労働者を郷里まで送ったり、シェルターで保護して食料を配給したりする自治体も出てきている。

 一方、こうした労働者の「大移動」はウイルスを各地に広げる懸念がある。災害対応に詳しいネール大のアミタ・シン教授は「全土封鎖はやむを得ない措置だったが、政府は事前に労働者に食料の引換券を配ったりするなどのケアが必要だった。労働者が困窮すれば、大移動が起こることは予測できたはずだ」と指摘する。

 また、本来は外出が許可されているはずの食品業者や輸送業者が警官の検問で止められるケースが頻発。さらに、警官が外出した人を棒でたたいたり、腕立て伏せを強要したりするなどの動画が出回ったり、報道されたりしたこともあり、警官からの暴行を恐れて外出を拒む業者が相次いだ。

 物流の停滞により封鎖が始まってから数日間は水や食料が店頭に並ばず、入手が難しい状況が続いた。1週間以上たった現在は改善されつつあるが、地域によってはいまだに品薄が続いている。【ニューデリー松井聡】

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