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時の在りか

「靖国」など日本の戦後をテーマに取材を続けている伊藤智永編集委員が、政治を「座標軸」に鋭く論じます。

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国家でコロナに勝てるか=伊藤智永

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外出自粛で閑散とする銀座の街=東京都中央区で3月28日、宮間俊樹撮影
外出自粛で閑散とする銀座の街=東京都中央区で3月28日、宮間俊樹撮影

 「戦時中の暮らしって、こんな感じだったのかな」

 東京や大阪も、いつパリやニューヨークのようになるのかと、新型コロナウイルスの感染爆発を案じる「瀬戸際」生活で、家人の漏らした一言に思案を巡らせる。

 何を大げさな、と戦前生まれは言うだろう。でも、欧米の政治リーダーは口々に「これは戦争だ。自分は戦時大統領だ」と言うし、医療体制がパンクして公園などにテントが立ち、多くの遺体袋が無造作に並べられた映像は、どこか野戦病院を思わせなくもない。先週末の外出自粛で人けがまばらになった都心の光景は、あたかも占領下の戦時都市を連想させた。

 戦時中、都市無差別爆撃までの日本国内は、異常なストレスの下でも、それなりの日常が営まれていた。厳密な時代考証が施された映画「この世界の片隅に」を見ると、原爆投下前、広島の人々が緊張の中にも平穏な生活を送っていたさまが描かれている。人は現に災厄が降りかかるまで、明日は我が身となかなか想像できない。

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