メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

失語症への支援 社会復帰の施策が足りぬ

[PR]

 脳卒中などで言語機能に障害のある失語症の人は、国内で30万~50万人に上るとみられる。外見からは分かりにくく「見えない障害」といわれる。

 失語症になると、言葉を聞いたり文字を読んだりして理解することがスムーズにできなくなる。重度の人は意思疎通が困難で、日常生活上の支援が必要だ。

 しかし、他の障害に比べて公的支援が乏しかった。このため、NPO法人「日本失語症協議会」など関係団体が協力して運動を続け、2018年、脳卒中の後遺症がある人への支援体制の整備などをうたった「脳卒中・循環器病対策基本法」ができた。

 患者団体は今年から4月25日を「失語症の日」とし、社会の理解を進める考えだ。

 ただ、医療や福祉の現場ではなお課題が山積している。

 失語症は長期にわたって適切なリハビリ訓練を受ければ、症状が改善するケースが多いとされる。だが、医療保険が適用される病院でのリハビリは180日までに制限されている。その後、福祉や介護の現場で十分なリハビリを受けられる体制は整っていない。

 発症は30~50代の働き盛りの男性に多く、仕事ができなくなれば、家族全体の生活への影響が大きい。リハビリによる機能回復と併せて就労の支援を進め、社会復帰につなげることが重要だ。

 受け入れる企業側も、本人の症状を踏まえ、適切な職場環境をつくってほしい。

 また、言葉が全く話せず、理解もできない重度の人でも、失語症のみの障害では身体障害者手帳の「3級」までしか認められていないのが現状だ。日常生活の支障が極めて大きい場合は、最も重い障害の認定である「1級」とするのが妥当ではないか。

 失語症の人の意思疎通をサポートする体制も欠かせない。各都道府県で始まった人材の養成や派遣事業を充実させる必要がある。

 日本は東京パラリンピックの開催を来年に控え、障害のある人との「共生社会」を目指している。失語症への理解を深めることも、その流れに沿うものだろう。

 脳卒中・循環器病対策基本法を基に、失語症の人を支える、より具体的な施策が求められる。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 質問15項目に菅首相答弁わずか10分 野党反発、与党も「さすがにまずい」

  2. 緊急事態宣言の非科学性

  3. 政府のワクチン調達に狂い 当面は「ファイザー頼み」 治験遅れで他社は春以降

  4. 二階氏「ケチつけるな」に見え隠れする「権力集中の弊害」

  5. 核禁条約発効 廃絶に向け思考停止から脱しなければ 中満泉・国連事務次長

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです