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荒川洋治・評 『左利き レスコフ作品集1』=レスコフ著、岩浅武久・訳

レスコフ著、岩浅武久さん訳「左利き レスコフ作品集1」(群像社)

 (群像社・1100円)

 一九世紀のロシア各地の人びとの姿を、生き方を、最良の作品によって知ることができた。

 ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコフ(一八三一―一八九五)はオリョール県(モスクワの南約三六〇キロ)の生まれ。父は下級官吏、母は貴族の血をひく。中学中退後、裁判所などで働く。商会の外交員のとき、ロシア全土をまわり、様々な階層の人に出会う。『僧院の人々』『魅せられた旅人』などで当時の文豪たちに見えなかった、ロシア社会と心の光景を描いた。「人生の諸現象の把握の広さ、生活の謎に対する理解の深さ、大ロシア語の精妙な知識において」、レスコフは、ツルゲーネフ、トルストイらをしばしば凌駕(りょうが)するとゴーリキーは記した。

 表題作「左利き」(一八八一)は金属製の小さな蚤(のみ)の足に蹄鉄(ていてつ)を打つ話。トゥーラ(オリョールの隣州の町)の左利きの工匠が蹄鉄の釘(くぎ)(顕微鏡でも見えにくい)まで造る。皇帝も登場。物語を彩る。「ニヒリストとの旅」(一八八二・本邦初訳)。列車に、あやしげな男。「今年の若魚か去年生まれの成魚か見分けがつかない、ドン河のウグイみたいなやつだ」。こうした途中の文も面白い。「老いたる天才」…

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