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鴻巣友季子・評 『才女の運命 男たちの名声の陰で』=インゲ・シュテファン著、松永美穂・訳

インゲ・シュテファンさん著、松永美穂さん訳『才女の運命 男たちの名声の陰で』(フィルムアート社)

 (フィルムアート社・2200円)

 本書によれば、「君の仕事はこれからはたった一つ、ぼくを幸せにしてくれるということだけなのです。わかりますかアルマ、ぼくの言っている意味が?」と、グスタフ・マーラーは同業者のアルマ・シントラーに手紙を書き、結婚後の仕事を禁じた。前世紀初頭のことだ。しかし現在も、結婚前にこのような“通達”を男性から受ける女性はいるはずだ。こんな露骨な文面ではない。言葉に出さないかもしれない。見えにくい圧力ゆえにむしろ厄介である。

 トルストイ、マルクス、シューマン、ロダン、アインシュタイン……偉大な芸術家、学者、運動家の陰で、「ミューズ」の美名のもとに創造的、知的、社会的搾取を受けてきた女性たちの懸命な歩みと抵抗、そして多くは敗北を、本書は克明にあぶりだす。とくにこの二語に注意して読んでいただきたい。「ファム・ファタール(運命の女)」「吸血鬼」。

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