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社説

富士山噴火の被害想定 首都機能の重大リスクだ

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 首都機能がまひする事態になれば、日本の経済・社会への影響は甚大だ。その危機に国や自治体は備えなければならない。

 政府の中央防災会議の作業部会が、富士山で大規模な噴火が発生した時に首都圏などが受ける被害の想定を公表した。噴火から3時間で都心に火山灰が降り積もる恐れがあるという。

 約300年前の宝永噴火と同規模の大噴火が起きたと想定した。影響が最も大きいのは、西南西の風が吹き、都心が灰の直撃を受ける場合だ。

 灰が微量でも、鉄道は運行システムに不具合が生じてストップし、視界の悪化で車の通行も困難となる。物流が滞り、水や食料が不足する恐れが出てくる。

 雨が降れば被害は一層広がる。電線がショートし、大規模な停電が発生しかねない。そうなれば断水や通信障害も起きる。

 噴火から15日目には東京都新宿区で灰が約10センチ積もるといい、処理が難しい課題となる。除去が必要な量は4億9000万立方メートルに及ぶ。東日本大震災で発生した災害廃棄物の約10倍の量にあたる。

 降灰が大都市に与える影響については研究が進んでおらず、対策も遅れていた。今回の想定は、国と自治体、鉄道や電力などの事業者に初めて本格的な対策を促している。

 まず、防災計画の整備が欠かせない。堆積(たいせき)した灰の処分場候補地、各家庭における食料の備蓄など、国や自治体があらかじめ定めて周知しておくべきことは多い。

 各事業者にとっては、噴火活動が活発な地域の経験が参考になるだろう。JR東日本は既に、線路の点検用カートにブラシを取り付けた灰の除去装置を開発した。手本にしたのはJR九州の桜島対策だという。

 さらに、長期的な対策にも力を入れるべきだ。噴火の時期や規模を正確に予測できれば、混乱を軽減できる。だが、現在の知見では難しい。観測体制の一層の強化や、火山の専門家の育成を進めていく必要がある。

 今後、国土交通省など関係省庁や自治体による具体的な対策の検討が始まる。経済・社会の混乱を抑えるため、関係機関が連携を強めなければならない。

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