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武漢封鎖解除 新型コロナ「底なし」の恐怖が残した心の傷 40万人以上がケア必要に

今年3月18日、封鎖された武漢の出入り口で豚肉を買うため行列を作る市民=新華社、AP

 世界で最初に新型コロナウイルスによる感染爆発が起きた中国湖北省武漢市で、1月23日から続く都市封鎖が8日午前0時(日本時間同1時)、77日ぶりに解除された。市民にとって日常を取り戻す大きな一歩となる。市内では新たな感染者が「0人」の日が珍しくなく、入院中の感染者も1000人を切った。ただ、武漢市のこれまでの感染者数は約5万人。死者数は2500人以上で、中国本土全体の8割近くを占める。市民が心の傷と向き合うのはこれからが正念場であり、それは日本を含む世界各国が今後直面する課題でもある。「死者の数の背後には、無数の悲しみがある」。ビデオ通話でそう話した武漢の心理カウンセラー、杜洺君(と・めいくん)さん(49)の奮闘を追った。

 「隔離が解除されたら日中ではなく、暗くなってから帰宅できるようにしてほしい」。感染者の訴えに杜さんの胸が痛んだ。

 湖北省心理士協会で事務局長を務める杜さんは、会員有志と3月中旬から、回復した人が帰宅前に14日間入所する市内の隔離施設を巡回し、心理ケアに取り組んでいる。

 施設にいるのは治療を受け、ウイルス検査でも陰性と確認された人ばかりだが、感染リスクはゼロではない。杜さんは慣れない防護服に身を包み、入所者の言葉にじっくりと耳を傾ける。

 入所者には感染した事実を恥じ、周囲の偏見を心配する人が少なくない。「暗くなってから帰宅したい」と願うのも、人目を避けたい気持ちからだ。

 ある60歳代の女性入所者は、公園でのグループダンスが趣味だったが、感染後は仲間と連絡を絶った。「避けられるとつらいから、帰宅しても知らせるつもりはない」と胸中を語ったそうだ。

 感染者は病ばかりではなく、周囲の人がウイルスと感染者を同一視し、差別する言動にも苦しめられる。だからこそ、杜さんは、帰宅を控えた人に「あなたは『感染者』ではなく、ウイルスに打ち勝った『戦士』だよ」と繰り返し伝えている。

 その言葉に込めた思いを、こう説明してくれた。「自分が『悪者』だと思い込み、自分の価値を否定すれば、心の傷は深ま…

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