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新型コロナに襲われたこの世界で生き残るために カミュのペストを読む/後編

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小説「ペスト」を書いたアルベール・カミュ(1913~1960年)=20年3月19日、國枝すみれ撮影
小説「ペスト」を書いたアルベール・カミュ(1913~1960年)=20年3月19日、國枝すみれ撮影

 新型コロナウイルスが拡大し、国内外でロックダウン(都市封鎖)や外出禁止・自粛が続く。現在の国内の世相と酷似した小説「ペスト」(1947年)を、著者カミュの研究家で成城大学の有田英也教授(61)と引き続き読みとく。(後編)【國枝すみれ/統合デジタル取材センター】

「保健課の組織がまるでだめです。あなたがたは人手も時間も不足している」(新潮文庫「ペスト」181ページ)

「彼らにかけているのは、つまり想像力です。彼らは決して災害の大きさに尺度を合わせることができない。で、彼らの考える救済策といえば、やっと頭痛風邪に間に合うかどうかというようなものです。彼らに任せておいたら、みんなやられてしまいますよ」(同)

(旅行者タルーが医師リウーに対し、市民を組織してボランティアで保健隊を創設することを申し出る=記者注、以下同じ)

有田:ペストのテーマは「不条理な世界への反抗」。ここに反抗ののろしがあがるのです。実は、東日本大震災の時にも「ペスト」がよく読まれました。私はちょうどその時、社会人向けに講座を開いていたのですが、東京電力福島第1原発の吉田昌郎所長(当時)が、危険地帯に突入する「爺の決死隊」を作ろうとしている、とのニュースが伝わってきた。「これは保健隊と同じではないか」。そういう意見が受講者から出ました。

國枝:新型コロナウイルス対策に関して、国民の多くが政府に対してこう感じていると思います。任せていたらみんなやられてしまう、と。世界中で市民が立ち上がっています。医療崩壊が起きている米国のニューヨークでは、引退していた医師や看護師少なくとも約8万人が現場に戻ることを決め、知事の「来て、助けてくれ」とのSOS会見をうけて、他州からも駆けつけています。米西海岸ワシントン州では動物実験をすっとばしたワクチ…

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