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月刊相撲

待ったなし 静寂が見せた伝統=武藤久

武藤久 東京相撲記者倶楽部会友

 かつて見たことのない風景の中で行われた3月の春場所。もう半月ほど過ぎたが、テレビ桟敷に聞こえてきたしこを踏む音、まわしをたたく音、頭と頭がぶつかり合う音などがまだ耳に残る。

 なかでもひときわ高く聞こえたのは呼び出しがたたく柝(き)の音だった。いつもは観客のどよめきにかき消される柝が高く響いて土俵入りや取組の進行の合図になっていることがよくわかった。柝は大相撲独特の拍子木で呼び出し全員が持っている。協会あいさつ、千秋楽の神送りの儀式などにも使われた。土俵入りの時には東西で呼び出しが交代でたたくが、それぞれ高低や響きの違いがあるのも趣があった。

 柝の材料は桜の木で、場所中に関東で桜の開花宣言がされた日に、雪が降ったこともあって1985年に東京・両国に国技館が完成したころの話を思い出した。雪国の新潟県長岡市にあったかつての連合艦隊司令長官、山本五十六邸から日本相撲協会に切り倒した桜の木が寄贈されたという話だ。当時の呼び出したちによると「桜を柝として使うには四、五十年も乾燥させなければ」といっていた。それぐらいの年月を経ないとあれほど響き渡…

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