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勧酒詩選

緊急事態を乗り越える やがて、その時は来る

「蘇東坡詩選」(岩波文庫)

 緊急事態宣言が出た。

 これまでもそうだったけれど、完全に不要不急の外出はこれで無用になった。急と不急の線引きにはいまだ微妙なところがあるものの、歌舞音曲、飲み歩きの類いは明々白々、もってのほかの行為ということになった。

 音楽を聴くのも、一杯いくのも家でやるしかない。この原稿も、「ステイホーム」での産物だ。

 それにしても、当連載での再三再四の強調になるが、身体だけでなく、精神の健康が重要である。そのキーワードは、いうまでもなく「詩と酒」になるわけだ。

   念君官舎氷雪冷

   新詩美酒聊相温

   <君が官舎の氷雪のごとく冷やかなるを念(おも)い、新詩 美酒 聊(いささ)か相温(あいたず)ぬ>

   「君の官舎はさぞさびしかろうと思うので、この詩と酒とをお届けして、いささかお慰め申します」

 宋代第一の詩人、蘇東坡の詩「答呂梁仲屯田」の一節。黄河で大洪水が起こり、決壊した堤防の修復をはじめ、地域復興の任に当たる役所の知人にあてたものだ。

 田畑も市場も人家も流されてしまった。これからが大変だ。けれども、私はもっこをかつぎ、すきを振るう先頭に立ちます。あなたには1000人の労働者を率いて、石を切り出してもらう。そうすれば、城壁は高く築かれ、農民たちもびくびくすることがなくなるでしょう――と。

 東…

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伊藤和史

1983年入社。岐阜支局、中部報道部、東京地方部、東京学芸部、オピニオングループなどを経て、2019年5月から東京学芸部。旧石器発掘捏造(ねつぞう)事件(2000年)以降、歴史や文化財を中心に取材

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