「女・男の気持ち」(2020年4月2~8日、東京・大阪・西部3本社版計21本)から選んだ「今週の気持ち」は、東京本社版4月7日掲載の投稿です。
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<今週の気持ち>
母って複雑
東京都町田市・小泉悦子さん(パート・42歳)
生まれて初めて入院と手術をしました。手術が決まってからの1カ月半、それまで忙しさにかまけて放置しがちだった多肉植物の世話に熱中しました。
人は不安を抱えると他人を攻撃したりお酒の力を借りて逃げようとしたりするが、それでは解決にならない。それよりも誰かのためになることをすると不安が軽減する。書くことや物作りがお勧め――。楽しみにしている新聞のコラムに、こんな内容のことが書いてありました。私は植物の世話で不安な気持ちを消化させているんだわ、と思い、入院の前日まで妙に忙しくしていました。
退院時は大変な強風だったので多肉植物が心配になり、帰宅して真っ先に室内にしまいました。そして、落ち着いてふと気付いたのです。短い入院期間でしたが、中高生の息子たちの心配をあまりしていなかったことに。それだけ大きく成長していたのだ、頼もしくしっかりとした存在になっていたのだと気が付き、こみ上げてくるものがありました。トイレにまで付いてきていた、あの赤ちゃんが。
後で高校生の長男が言いました。お母さんがいない間、お母さんの大変さとありがたさがよくわかったよ、男3人ですごく大変だったよ、と。
成長を頼もしく思ったばかりなのに、私をまだ必要としてくれることも大変うれしく思いました。
母って、複雑ですね。
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<担当記者より>
入院、手術という大変な経験をへて、気付きや感動のあった小泉さん。子どもの成長に喜びと寂しさを感じて……母の心はいつの時代も複雑です。そして親は、子どもがいくつになっても「心配」なのですよね。親離れよりも子離れのほうがはるかに難しい、というのは真実かもしれません。
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