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社説

休業要請の混乱 政府の危機感が足りない

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 国民の生命と安全がかかった局面で信じがたい混乱である。

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けた休業要請の時期と対象を巡り、政府と東京都の対立が表面化した。

 都は7日の宣言発令に合わせ、外出自粛に加えて幅広い業種への休業要請に踏み切る方針だった。ところが、政府は経済活動の停滞を懸念した。対象範囲を狭めることや、外出自粛の効果を見極めるまで要請自体を先送りすることを求めた。

 本来なら、宣言を発令する前に調整を済ませておくべきだった。意思疎通が欠けていたと言うしかない。この混乱のために、発令から3日間がいたずらに過ぎ、その間にも感染者が増えた。

 政府が宣言に踏み切ったのは、経済・社会活動をある程度制約してでも、感染拡大防止を図る必要があると判断したためだったはずだ。外出自粛要請にとどめようとするのは一貫性を欠く。

 安倍晋三首相は「人と人の接触機会を極力8割削減できれば2週間後には感染者を減少に転じさせられる」と語っていた。政府の消極的な姿勢で、目標を実現できるか疑問だ。

 宣言の対象となった他の府県知事は当面の休業要請を見送った。神奈川県の黒岩祐治知事は「国の休業補償とセットでないとできない」と述べた。

 都は自粛に協力した事業者への「感染拡大防止協力金」を創設するという。各府県にはそうした財政力がないという事情がある。だが、政府が十分な財政的手立てを講じる姿勢を見せないことが必要な要請を手控えさせているとすれば、本末転倒だろう。

 政府は個別の休業補償には応じず、収入が大幅に減った事業者への給付金などで対応する方針を変えていない。新型コロナ対応の特別措置法に補償の規定がないのも理由の一つだ。

 それなら、都の協力金のような制度を国が創設し、下支えのベースを作ってもいいのではないか。

 外出自粛要請だけで感染が収束に向かうことを期待しているのなら、政府は危機感が足りない。各都府県との意思疎通を図り、早急に新たな対応策を講じなければならない。

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