毎日新聞
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外国に滞在する日本人への支援は十分だろうか。新型コロナウイルスの世界的流行を受けて政府が対応を強化することを決めた。
世界各地で国境が封鎖され、外出を禁止した国もある。感染におびえながら不安な日々を過ごしている日本人は多いだろう。
在留邦人の保護は国の責務だ。緊急時の即応態勢を手厚くするというが、邦人支援が後手に回るようなことはあってはならない。
感染状況は地域によって異なる。邦人の置かれた状況に応じて効果のある対策を講じるべきだ。
海外に住む日本人は約140万人いる。その大半は、企業の駐在員や留学生などの長期滞在者だ。
現在、帰国を希望する邦人は約50カ国に約4000人いる。このうち約1000人は帰国のめどがまったく立っていない。国際便の減便や運航停止などの影響で動くに動けない事情がある。
この中には途上国の滞在者や単身の旅行者もいるという。まずは、居住する国の協力を得て移動手段を確保する必要がある。
日本単独や現地政府の手配が困難なら、第三国の協力を得て帰国の方策を探るべきだ。ペルーからの邦人の帰国では台湾のチャーター機に同乗した実績がある。外交力を総動員しなければならない。
とりわけ心配なのが留学生だ。各大学が把握しているだけで約10万人いる。最も不安に思うのは、感染が疑われるときだろう。
どこの病院に行けばいいのか。手助けしてくれる人はいるのか。何もわからず孤立感を深めてしまわないような対応が急がれる。
非常時には現地の大使館や領事館が頼みの綱だ。周辺の感染状況や受け入れ病院の情報を発信し、生活をサポートしてほしい。
欧米ではアジア系への差別が深刻だ。「アジア人め」と罵声を浴びせられたなどの被害が相次いでいる。日本人も嫌がらせを受けた事例が各地で報道されている。
身の危険を感じる暴力的な事案もあるといい、看過できない。再発防止に取り組むよう現地の政府に要請すべきだ。
危機は世界に広がる。日本にいる外国人にも十分に目配りする必要がある。それが日本への信頼を生み、ひいては邦人の安全にもつながるはずだ。
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