- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

<文化の森 Bunka no mori>
一国の国民は、ときに国民ぐるみヒステリーにおちいる。
それは歴史のまぎれもなく示すところである。幕末の尊王攘夷(じょうい)さわぎもそう、戦後のオイルショック(第一次)もそう。ひょっとしたら現在も、それと気づかず、私たちは危険な感情過多の渦を生み出す大海の一滴になっているかもしれないのだ。
そんなとき家にこもって読み返すべきは森鷗外だ。なぜなら鷗外こそはヒステリーから最も遠い、冷静と自制のきわみの文体のもちぬしだからである。自分の頭でものを考える文体、と言いかえてもいいだろう。
この記事は有料記事です。
残り1654文字(全文1916文字)