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今よみがえる森鴎外

2022年に没後100年を迎える森鴎外。毎回筆者とテーマを変えて、作品に現代の光を当て読み解きます。

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今よみがえる森鴎外

/13 冷静と自制のきわみ 国民的ヒステリーの中で=作家・門井慶喜

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乃木希典夫妻がまつられる乃木神社。隣には二人が自刃した旧邸が残されている=東京都港区赤坂8で2020年4月6日午後3時32分、須藤唯哉撮影
乃木希典夫妻がまつられる乃木神社。隣には二人が自刃した旧邸が残されている=東京都港区赤坂8で2020年4月6日午後3時32分、須藤唯哉撮影

 <文化の森 Bunka no mori>

 一国の国民は、ときに国民ぐるみヒステリーにおちいる。

 それは歴史のまぎれもなく示すところである。幕末の尊王攘夷(じょうい)さわぎもそう、戦後のオイルショック(第一次)もそう。ひょっとしたら現在も、それと気づかず、私たちは危険な感情過多の渦を生み出す大海の一滴になっているかもしれないのだ。

 そんなとき家にこもって読み返すべきは森鷗外だ。なぜなら鷗外こそはヒステリーから最も遠い、冷静と自制のきわみの文体のもちぬしだからである。自分の頭でものを考える文体、と言いかえてもいいだろう。

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