台風19号半年 被災地もコロナ、復興遅れ 中国産住宅資材、届かず ボランティア外出を自粛

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マスクをして被災住宅の復旧作業に当たる人ら=福島県本宮市で2020年4月10日午後4時52分、渡部直樹撮影 拡大
マスクをして被災住宅の復旧作業に当たる人ら=福島県本宮市で2020年4月10日午後4時52分、渡部直樹撮影

 2019年秋に襲った三つの台風の被災地で、新型コロナウイルスが復興に影を落としている。中国からの輸入に頼る住宅資材の供給が滞ったり、外出自粛でボランティアが集まらなかったりするためだ。被災者は「早く終息して」と声を上げる。

 「せめてお風呂だけでも早く直してほしい」

 長野市豊野地区に住む山浦茂子さん(72)は肩を落とす。台風19号で市内では千曲川の堤防が決壊し、4000棟以上が浸水した。決壊箇所に近い山浦さんの自宅も床上2・1メートルまで水につかり、全壊と認定された。約1000万円かけて自宅を修理するつもりだが、依頼した工務店に「中国から資材が届くのが遅れる」と説明され、5月に開始予定だった工事は延期になった。いつになるかは決まっていない。今、浸水を免れた2階部分で夫と暮らしている。カセットコンロで調理し、近くの娘の家で風呂を借りる毎日だ。「年内に工事を終わらせたいけど、それまでにコロナが終息しているのか」と不安を口にした。

 住宅設備大手LIXIL(リクシル)によると、感染拡大で、取引先の中国部品メーカーの工場が操業停止に。一部の取引は国内メーカーに切り替えたが、住宅再建に不可欠なシステムキッチンやトイレ、洗面台などの納品が遅れている。長野のリフォーム業者によると、こうした影響で被災住宅の修理は1カ月程度ずれ込んでいる。ただし最近は中国で感染の勢いが鈍り、「少しずつ改善している」(業者)という。

 台風19、21号で大きな被害を受けた福島県でも、住宅再建の遅れを危ぶむ声が上がる。本宮(もとみや)市で工務店を営む安斉佳二さん(70)は、郡山市で被災住宅のリフォームを2件受注したが、メーカーに注文したシステムキッチンやトイレは納期が未定だ。「工事の段取りが悪くなり、家の引き渡しも遅れる」と気をもむ。郡山市住宅政策課は「住宅修理に目立った遅れはないものの、今後影響が出る恐れがある」と警戒する。

 台風19号で死者・行方不明者が11人出た宮城県丸森町では、週末のボランティア受け入れを中断している。ボランティアは2月末まで1日70人ほど参加しており、災害ごみの運び出しや泥のかき出しなどで今も需要がある。災害ボランティアセンターに寄せられた約20件の派遣依頼は残ったままで、センターを運営する町社会福祉協議会の職員が手分けしてこなしている。台風15、19号に見舞われた千葉県でも、ボランティア活動が滞る。住宅の約7割に被害があった鋸南(きょなん)町では、東京都知事の外出自粛要請に伴い、室内のカビ除去を担当する都内のボランティアチームに活動を自粛してもらったため、5件の待ちが出ている。

 観光地では客足も途絶えている。阿武隈川の舟下りが有名な丸森町では、台風被害で落ち込んだ観光客が戻ってきたところにコロナ禍が降りかかった。町の担当者は「台風と違い、建物を修復したら客足が回復するわけでもない。先が見えない」と困惑する。花摘みが楽しめる千葉県南房総市の「花の里フローラルビレッジ名倉」は、ポピーなど花の3分の2が台風15号で被害を受けた。苗を工面して春の観光客を待ったが、19年は約80台来た観光バスがすべてキャンセルに。経営者の佐野英世さん(78)は「未曽有の状況だ。何とか乗り切りたいが……」と咲き誇る花を見やった。【島袋太輔、渡部直樹、藤田花、平井桂月】

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