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AIなければめぐり合わなかった「結婚したいと思える人」「本当の自分」

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AIの紹介で出会い、結婚した渡辺ユウヤさん、キョウ子さん夫妻(いずれも仮名)=栃木県那須塩原市で2020年2月、清水憲司撮影
AIの紹介で出会い、結婚した渡辺ユウヤさん、キョウ子さん夫妻(いずれも仮名)=栃木県那須塩原市で2020年2月、清水憲司撮影

 人と人のつながりは、顔を突き合わせた対話から、古くは電話、近年はSNS(ネット交流サービス)の登場で大きな変化を遂げてきた。そして人工知能(AI)は、私たちの出会いにさえ影響を及ぼし始めている。

 「奇跡的だった」。昨年7月に結婚した高橋コウイチさん(51)とヤス子さん(47)=いずれも仮名=を引き合わせたのは、婚活支援会社「パートナーエージェント」(東京)が開発したAIだ。

 埼玉県が少子化対策の一環として運営し、このAIを導入している「出会いサポートセンター」に2人が登録したのは2年前の夏。まず約100問のアンケートに答え、「自分に正直」「相手に共感」「周囲との協調」といった12項目について、「自分が重視する価値観」と「相手に求める価値観」をそれぞれ測定する。AIは過去、どんな価値観のカップルが結婚に至ったかデータを分析。それらと似た組み合わせは「うまくいく」と判断し、登録会員におすすめの相手として情報を配信する。双方が会うと決めれば、お見合いに進む。

 AIが結婚相手を探す未来はもう目の前にある。埼玉県によると、4月19日までに結婚を決めたカップル41組のうち、22組はAIが仲を取り持った。残りは年齢や学歴、年収などで好みの相手を検索する従来型システムの利用者だが、常時AIが半数を超えて推移する。埼玉県に続き秋田県も、このAIの導入を決めた。

 利点は、高橋夫妻が「AIでなかったら出会えなかった」と感じている点に表れている。メーカー勤務のコウイチさんと学校教諭のヤス子さんの勤務地や以前の住まいは離れており、普段の行動に接点はない。経歴にも共通点は少なく、相手のプロフィルに目が行く従来型システムでは、お互い関心を持たなかったかもしれない。ところが、2人は初めて会った時から引かれ合い、数カ月の交際で結婚を決意した。ヤス子さんは「夫は友達を家に呼ぶのが大好き。私は自作のギョーザで一緒にビールを飲める人と結婚したいと思っていた。AIは『人とのふれあい』を大事にする私たちの共通点を見抜いてくれた」と話す。

 栃木県の渡辺ユウヤさん(43)とキョウ子さん(44)=同=も、別のAIが結びつけたカップルだ。婚活支援会社の担当者が会員との会話をもとに、その人の特徴や好みを記した紹介文を作成。これをAIに分析させ、相性が良さそうな相手を紹介する。理系でメーカー勤務のユウヤさんは「何を基準…

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