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毎日新聞

白紙撤回となった旧計画から工期を8カ月短縮して完成した国立競技場=2019年12月21日午後2時4分、梅村直承撮影

Field of View

「負の遺産」への懸念 国立競技場完成 東京開催決定から7年⑫

 東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる国立競技場は2019年11月30日、完成した。「二度と失敗できない」という建て替え工事。当初計画の白紙撤回を経て、大成建設、梓設計、建築家・隈研吾氏の設計事務所の共同企業体(JV)は知恵と技術力を結集し、8カ月短縮した工期を守った。日本の建築技術を示すことはできたが、競技場の将来像はまだ見えてこない。

 政府は、19年に決める予定だった大会後の民営化計画策定を20年以降に先送りした。運営権を民間に売却する「コンセッション方式」の導入を前提に検討したものの、大会警備の秘密を理由に詳細な競技場の図面を開示できず、民間事業者側が収益性を判断できないためと説明した。

新しい国立競技場で行われたサッカー天皇杯決勝は多くの人が詰めかけた=2020年1月1日、梅村直承撮影

 しかし、それは表向きの理由との見方がある。維持管理費は年間24億円ともされ、民間事業者が「本当に採算が取れるのか」と二の足を踏んでいるという声も聞く。東京都心でアクセスがいい好立地にもかかわらず魅力にはつながっていない。

 スタジアムの後利用に詳しい専門家によれば「民間が最も興味を示すのは2万人規模の屋根付きアリーナ。国立は大きすぎて屋根もないから使い勝手が悪い」という。

 6万人規模の巨大な競技場の運営を、一つの事業者だけで担うのは難しい。神宮外苑では、現在の神宮球場や秩父宮ラグビー場の位置を入れ替えて新設し、高層の商業ビルを建設するなどの再開発計画もある。商社や不動産会社など多くの事業者を巻き込んで知恵を結集しなければ、スポーツの聖地は「負の遺産」になりかねない。【浅妻博之】

浅妻博之

毎日新聞東京本社運動部。1982年、新潟市生まれ。スポーツ紙で校閲業務をして、2007年入社。山形支局、東京運動部、大阪運動部を経て、18年10月から東京運動部でテニス、バスケット、カヌーなどを担当。リオデジャネイロ五輪も現地取材して、テニス取材も全豪、全仏、ウィンブルドン、全米の4大大会を制覇した。高麗人参エキスを毎朝飲んで、健康維持を目指す。