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東京へ ともに歩む

毎日新聞

国際オリンピック委員会のバッハ会長と電話協議する安倍晋三首相(中央奥)ら=内閣広報室提供

Field of View

政治主導の延期決定 首相の一言に感じた意図 東京開催決定から7年⑭終

 「東京オリンピック・パラリンピックの中止はないということについて、確認を致しました」。3月24日午後9時すぎ、国際オリンピック委員会(IOC)との電話協議後のぶら下がり取材で、安倍晋三首相はこう切り出した。冬用のダウンを着ても寒く感じる日。首相公邸前で1時間以上待って聞いた第一声に困惑した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、五輪史上初めての延期が決まった。その日の夜以降、政府や与党の関係者からは「首相の外交術がなければ、中止になる可能性もあった」と首相のリーダーシップを強調する発言が聞こえてきた。冒頭の発言がその布石だったと理解した。トランプ米大統領が1年延期を提案した発言は首相の根回しの成果で、IOCを延期に傾かせたという解説もあった。

アスリートに向けたビデオメッセージで東京五輪の延期を表明する国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長=2020年3月24日、IOCのホームページより

 五輪のマラソンと競歩の会場が、IOCの意向で一方的に札幌に移転されたことが日本側のトラウマだった。ただ、大会組織委員会の幹部からは「IOCは赤字になるから、中止を嫌がる」と繰り返し聞かされていた。

 IOCが、五輪に絡む収益の8割を占める放映権料の損失を伴う中止を真剣に検討していたとは思えない。海外の競技団体やアスリートからの延期を求める声がIOCや日本の関係者を追い込んだ。

 東京大会の延期は本来、IOCに決定権があるが、首相がIOCのトーマス・バッハ会長に提案し、政治主導で決着した。今後は延期に伴う、3000億円ともされる追加費用をどこが負担するかが焦点になる。延期決定を「決断」した首相のリーダーシップが問われる。【松本晃】

=おわり

松本晃

毎日新聞東京本社運動部。1981年、神奈川県生まれ。住宅メーカーの営業を経て、2009年入社。宇都宮支局、政治部を経て16年10月から現職。柔道、空手などを担当。文学部心理学科だった大学の卒論は「電車の座席位置と降りる早さの相関関係」。通勤に一時間半の今に生きているような、いないような。