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新型コロナウイルスの感染拡大で企業業績が急速に悪化し、雇用不安が強まっている。とりわけ、契約社員や派遣社員など立場が弱い非正規労働者の状況は厳しい。
観光や飲食、小売りなど大きな打撃を受けている分野は、非正規雇用が多い。既に、派遣切りや雇い止めなどが発生している。
雇用は生活の基盤だ。正規・非正規にかかわらず、安易な解雇は許されない。非正規であっても、契約途中の解雇には、やむをえない事情が必要だ。内定取り消しも、正社員の解雇と同様であることを認識する必要がある。
政府は、企業に休業手当の一部を補助する雇用調整助成金を拡充した。従業員に一時的に休んでもらうことで急場をしのぎ、解雇を避ける狙いだ。今回の特例では、雇用保険に加入していない非正規従業員向けも助成対象にした。
ただ、こうした制度を知らない経営者も少なくない。政府は商工団体などを通じ、仕組みや手続きの周知を徹底すべきだ。
助成率は最大9割まで引き上げられたが、中小企業の資金繰りを考えれば、さらなる引き上げで支援することも検討すべきだ。ここ数年は景気回復が続いていたため、雇用保険財政は改善している。
助成金の支給まで、通常2カ月程度かかる。政府は1カ月に短縮する方針だが、資金繰りに窮し、解雇に踏み切る企業が出てきた。担当部署への職員の集中配置や申請書類の簡略化など、対応を加速させなければならない。
売上高が急減した中小企業に最大200万円を給付する制度も設けたが、給付は早くて5月になる。しかも1回限りで力不足だ。
企業には雇用維持のため、助成金や実質無利子の融資、給付金の活用など、あらゆる施策に取り組む責務がある。一時的な業績悪化で人材を手放せば、技術の蓄積が途絶えたり、消費が一段と悪化したりして、経済の基盤が弱まる。
景気低迷時に企業が新卒採用を絞った結果、就職氷河期世代を生んだ反省を忘れてはならない。
企業の社会的責任として雇用を守るという意識は後退している。しかし、非正規を雇用の調整弁と見なすばかりでは、格差や社会不安が増幅しかねない。長期的視野で雇用を支える局面だ。
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