毎日新聞
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新型コロナウイルスの感染拡大で苦境が深まる地元企業をどう支えるか。地銀や信金など地域金融機関の存在意義が問われている。
旅客激減や大手企業の減産、店舗の営業自粛で収入を絶たれた中小企業が続出している。運転資金の1~2カ月分程度しか手元にない企業も多く、当面の資金繰りに苦慮している。
政府は日本政策金融公庫を通じて無利子・無担保の緊急融資を提供している。だが、殺到する申請をさばき切れず、これまで融資が決まったのは申請の6割程度だ。
このため、民間金融機関にも独自の資金繰り支援を要請した。これを受けて、各地域金融機関は3月からコロナ対策チームをつくり、企業に低利融資を行っている。
まずは企業の資金ショートを防ぐ必要がある。しかし、専門家は「それだけでは倒産や失業の多発を防げない」と指摘している。
中小企業の多くが過去の設備投資などで相当額の債務を抱えているからだ。コロナ禍で顧客がいつ戻るか見えない中、無利子でも借金を重ねることをちゅうちょした「あきらめ倒産」が増えている。
金融庁はコロナ前からの債務についても、金利減免や返済猶予に応じるよう地域金融機関に促している。リーマン危機時の対応にならった措置だ。
ただ、金融機関側には「もともと経営が悪い企業にまで追加支援する意味があるのか」と施策の効果を疑問視する声もある。
実際、リーマン危機時に支援を受けながら倒産した企業もある。だが、支援が資金繰り対策や一時的な返済猶予など急場しのぎにとどまったことで経営が行き詰まったケースが少なくない。
今回は「リーマン以上」とされる危機だ。経済活動の自粛が広がる中、地場企業が連鎖破綻すれば、地域経済は底割れしかねない。
地域金融機関は近年、カネ余りやネット銀行の台頭などで存在感を低下させてきた。企業がコロナ禍に苦しむ今こそ地域金融の担い手としての本領を発揮する時だ。
リーマン対応のまずさも教訓に、融資にとどまらない再建策のアドバイスなど企業に寄り添った支援が求められる。金融庁は公的資金による資本増強の活用も視野に取り組みを後押しすべきだ。
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