「お前のせいで感染が広がるだろう」。訪問看護師の女性が路上で投げつけられたという言葉だという。この出来事を記したツイッター投稿が4月14日までに4万回以上リツイートされ6万3000件以上「いいね」が付いた。「命を守るための看護なのに許せない」「本当にお疲れさまです」といった怒りやねぎらいの声も集まった。ツイート主の「りんどう」さんが匿名を条件に電話取材に応じ、当時の状況や自らの受け止め方を詳細に語った。【和田浩明/統合デジタル取材センター】
――当時の状況を教えていただけますか。
◆3月30日のお昼ぐらい、関東地方でのことです。訪問看護を終えて業務用の車に戻ろうとしたところでした。車には後ろのガラスに所属する看護ステーションの名前や連絡先などが張ってあって、おそらく60代くらいの男性が見ていました。
たまに訪問看護が必要な方から話しかけられることがあったので「どうされました?」と声をかけました。
すると「訪問看護と書いてある。お前は看護師か」と聞かれました。肯定すると顔つきが厳しくなり「なぜ看護師が外を歩いている」「お前のせいで感染が広がるだろう」と言われました。大声ではありませんでしたが、高圧的な口調だと感じました。
想像と違う反応だったので、しばらくは頭が真っ白で何を言われているか分からない状態でした。なんとか落ち着きを取り戻して頭に浮かんだのは「自分が訪問した患者さんの家を見られて、その家で何かされるかも」「他の患者さんを訪問している同僚看護師が影響を受けるかも」という考えでした。高齢化が進んでいる地域なので、他社も含め訪問看護を利用されている方が多いのです。「患者さんとスタッフを守ろう」という思いから、説明に徹しました。訪問看護がどんなものか、丁寧に説明したつもりですが、動揺していてうまく伝えられなかったかもしれません。
しかし、相手の人は「そんなことは知らない。看護師が外を歩くなんて言語道断だ」「お前の患者にもコロナはいるだろう。そいつの家を教えろ」と言ってきました。守秘義務があるのでお伝えできないことや、感染者発生時は、しかるべき機関に伝えるよう行政から通達が出ていることなどをお伝えしました。
でも対応は変わらず「とにかく迷惑だから外を歩くな」と言って去って行きました。私の話は何一つ聞いていただけなかった印象です。時間は10分程度だったと思います。
――起きたことをツイートしようと思ったわけは?
◆最初は、フォローし合っている看護師さんに、こんなことがあったと聞いて…
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1991年4月入社。英文毎日編集部、サイバー編集部、外信部、大阪社会部を経て2003年10月から08年3月までワシントン特派員。無差別発砲事件、インド洋大津波、イラク駐留米軍や大統領選挙を取材。09年4月からはカイロに勤務し、11年1月に始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」をチュニジア、エジプト、リビア、シリア、イエメンで目撃した。東京での中東、米州担当デスク、2度目のワシントン特派員などを経て2019年5月から統合デジタル取材センター。日本社会と外国人住民やLGBTなどの今後に関心がある。
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