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ブラック・チェンバー・ミュージック

/251 阿部和重 写真・相川博昭

 

 「極道警察」スキンヘッドマンとしては要するに、ひとの耳目を気にせずのびのびと尋問を実施したいということかもしれない。

 しかしそれなら、密室がひと部屋あればことたりるのだから車内でも間にあうし、わざわざこんな郊外の廃病院までやってくる理由がよくわからない。

 いやな予感がつのり、横口健二の足どりはますます重くなってゆく。が、数歩ごとに「極道警察」からどんと背中を押されてしまうので歩みがとまることはない。病院の正面エントランスへ足を踏みいれると、ひょっとしてもう家には帰れないんじゃないかと悲観に襲われ背筋が寒くなってくる。

 建物のなかに入っても光のさす場所はどこにもなく、なんの説明もないまま歩かされているだけなので心もとないことこのうえない。エントランスホールらしきところを通過し、階段を降りだした頃にはスキンヘッドマンがスマホライトを点灯させたが、行き先は地階かと知った横口健二は恐怖心をいっそうふくらませてしまう。廃病院の地下というのはなんとなく、死に直結しているようなイメージを抱かせるからだ。

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