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社説

米のWHO拠出金停止 「自分第一」では収束せぬ

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 トランプ米大統領が新型コロナウイルス対策に取り組む世界保健機関(WHO)への資金拠出を停止すると表明した。「中国寄り」の立場を取って対処を誤り、感染を世界に拡大させたためだとトランプ氏は主張している。

 世界的な感染状況の情報発信やワクチン開発の情報共有などで陣頭指揮をとっているのがWHOだ。米国の拠出額は予算の約15%を占める。この資金が滞れば今後の運営に影響を及ぼす。

 感染収束に向けた国際的な努力に逆行する姿勢で看過できない。トランプ氏は再考すべきだ。

 WHOが初動段階で誤った情報を発信したり、対応が遅れたりしたのは事実だろう。

 感染が最初に拡大した中国の初期調査結果をもとに「ヒトからヒトへの感染を示す証拠はない」との見解を示した。米政府が中国からの入国規制を実施した前後には「効果がない」と指摘した。

 後に軌道修正したとはいえ、不適切な対応が各国の当初の対策に影響を与えた可能性は否定できない。今後、検証する必要がある。

 なぜ、WHOの役割が重要なこの時期に資金拠出の停止を表明したのか。

 感染が収束傾向の中国は支援外交で影響力を強めている。WHOを攻撃することで中国をけん制する狙いがあるのは確かだろう。

 ただ、それ以上に選挙にらみの思惑が働いているようだ。

 米国の感染者は60万人に達し、死者数も2万人を超えた。ともに世界最悪の状態だ。主な責任がトランプ政権にあるのは明らかだ。

 トランプ氏は当初から「状況は管理できている」と楽観的な見方を繰り返し、十分な準備をせずに対応が後手に回った。

 11月の大統領選への影響を懸念し、WHOに責任転嫁して政権批判の矛先をそらす狙いがあるとするなら、あまりに身勝手な姿勢と言わざるを得ない。

 最近の記者会見では、政権を擁護する知事らの発言を紹介するビデオを流した。「選挙目当ての広告」と批判されるのも当然だ。

 今回の停止は意のままにならない国際機関を威圧し、国内向けにアピールするトランプ流の選挙戦術ともいえよう。そうであれば、米国の信頼は低下するだけだ。

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