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社説

「大恐慌以来」の予測 安全網の充実が最優先だ

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 新型コロナウイルスの急速な感染拡大で、今年の世界経済の成長率はマイナス3%に陥るとの予測を国際通貨基金(IMF)が発表した。リーマン危機のマイナス0・1%よりはるかに悪く、1930年代の世界大恐慌以来の不況になる恐れが大きいという。

 日米がマイナス5%台と大幅悪化するのに加え、高成長で世界経済を支えてきた中国もプラス1%台に低迷する見通しだ。リーマン危機では中国が克服に貢献したが、総崩れとなりかねない。

 大恐慌の引き金は株価暴落、リーマン危機は証券会社の破綻だった。だが、今回は感染症でヒトとモノの流れが一気に凍りついた。極めて異質で深刻な事態だ。

 とりわけ心配されるのは、人々の暮らしに直結する雇用や収入が脅かされることである。

 大恐慌時は日米で失業者があふれた。今回は世界の労働人口の4割近い12億人強が解雇や給与減のリスクに直面していると国際労働機関(ILO)は推計している。

 公共事業などで雇用を生み出せた大恐慌やリーマン危機と違い、感染対策を徹底するほど経済活動は制限される。打撃は、非正規雇用など立場の弱い労働者に及びやすい。各国は働く人を守る安全網を充実させる必要がある。

 日米欧などは大規模な経済対策を相次いでまとめた。休業を余儀なくされた企業やそこで働く人への支援を早急に実施し、足りなければ追加対策を検討すべきだ。

 気がかりなのは、景気回復を優先したい政権の思惑が主要国で目立つことだ。トランプ米大統領は、米国の感染者増加が鈍化しているとして経済活動の再開を急ぐ方針を表明した。だが感染が再び拡大するとの反対論も多い。

 日本の対策も生活支援が不十分なのに、消費喚起のクーポンなどに多額の予算を計上した。安倍晋三首相は「経済をV字回復させる」と強調している。アベノミクスへの打撃を抑えたいのだろう。

 IMFは世界の成長率が来年は5%台に持ち直すとも予測した。ただ感染が今年中に収束することが前提であり、長引けば来年もマイナス成長が続くという。

 感染の早期封じ込めが経済を回復させる早道だ。各国はIMFの予測を重く受け止めるべきだ。

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