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緊急提言 野口悠紀雄さんが考える「今打つべき手」と「コロナ後の世界」

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野口悠紀雄・一橋大名誉教授=東京都新宿区西早稲田で2019年12月18日、宮本明登撮影
野口悠紀雄・一橋大名誉教授=東京都新宿区西早稲田で2019年12月18日、宮本明登撮影

 新型コロナ禍の令和ニッポンを「緊急事態」という言葉が覆っている。不安の時代だからこそ、先達の声に耳を傾けたい。経済学者の野口悠紀雄さん(79)に政府の打つべき手とコロナ終息後の世界について考えてもらった。【吉井理記/統合デジタル取材センター】

 ――コロナ禍の日本経済、どう見ますか。

 ◆実はすでに昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比マイナス1.8%、年率ではマイナス7.1%の大幅減でした。米中の貿易摩擦の影響で輸出が減少し、製造業を中心に売り上げは大幅に落ちていた。コロナ禍がなくても、2020年の日本経済は大変な不況になっていたのです。

 ――ならばコロナ禍でさらに厳しい状況に……。

 ◆コロナ禍がいつ終息するか、見通しが立っていませんから、日本経済の今後も見通せません。ちなみに米大手銀行の「バンク・オブ・アメリカ」のアナリストは、米国の4~6月期のGDPはマイナス30%と予測しています。

一律給付と重い罰則のセット

 ――となると、政府の打つ手が重要ですが、安倍政権の緊急経済対策には大変お怒りと聞きました。400億円超で「マスク2枚」を配布するらしいですが。

 ◆……。それについては何も申しません。今、何より必要なのは医療体制を維持し、国民や企業に支払い手段、つまりお金を供給し、資金繰りをさせることです。政府は今、一部の国民に現金給付を考えていますが、問題だらけです。

 ――2~6月のいずれかの月収が、年収換算で住民税非課税世帯(東京23区内なら、会社員の夫、専業主婦、子ども2人の4人家族で年収255万円以下、家族構成や地域によって異なる)の水準に落ち込んだり、感染拡大後の月収が半分以下となり住民税非課税水準の2倍以下にまで減ったりした場合、30万円の給付が受けられる、という案ですね。

 ◆所得制限や条件を付けるのは大変まずい。条件を設けたために、条件をかいくぐろうとする不正行為が必ず発生します。ある会社が「経営判断」として、社員の30万円の給与を10万円にし、その内容の給与明細を発行する。社員はその明細を持って、役所で30万円の給付を受ける。「ぬれ手にあわ」とはこのことです。この会社は人件費を圧縮できるうえ、給付金を山分けできる。これは、外形的には違法ではありません。

 ――不正は織り込み済みでやるしかないのでは。

 ◆いや、不正行為を前提にするのは政府の責任放棄です。そもそも、減収や所得の証明はとても難しい。所得制限をかけるにしても、所得を知っているのは税務署です。今、税務署にその事務対応をする余力はない。

 ――ならばどうすればいいでしょう。この瞬間にも困っている人がいるんです。

 ◆もちろんそうです。だからまず、お金を一律に給付する。ただし、条件を付けておき、富裕層からは何らかの方法で後から回収する。また、不正申告をした場合は重い罰則を科す。「今は調査しないが、後で不正が発覚すれば、給付額の100倍の罰金を科す」というように。もう一つ、喫緊の対策が必要なのは個人事業主や企業です。支払い手段、つまりお金の欠如は連鎖倒産を招きます。だからお金を供給しなければならないのです。

 ――政府は民間金融機関による実質無利子の緊急融資や、100万~200万円の給付を考えています。これでは不十分ですか。

 ◆もちろんそれも必要です。しかし、緊急融資は審査があるし、休業補償はやはり減収の証明をどうするか、という難しい問題がある。つまり時間がかかる。だから、まず19年の法人税、所得税、消費税(企業や商店は、顧客から代金とともに受け取った消費税を預かり、年度末に…

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