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東京へ ともに歩む

毎日新聞

昨年10月の大会で4大会連続の五輪代表入りを決めたカヌーの羽根田卓也=東京都江戸川区のカヌー・スラロームセンターで2019年10月20日、大西岳彦撮影

東京・わたし

東京オリンピック1年延期 リオ五輪カヌー銅メダル・羽根田卓也の現在地

 東京オリンピック開幕は2021年7月23日に延期となった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で、本番まで4カ月というタイミングでの異例の決定。カヌー・スラローム男子カナディアンシングルで4大会連続となる五輪代表に決まっていた羽根田卓也(32)=ミキハウス=に胸の内を聞いた。【聞き手・浅妻博之】

 ――五輪が1年延期になりました。

 ◆「残念」とか「今年やりたかった」という気持ちはなく、一喜一憂していないというのが率直な感想です。「こういうこともあるのかな」と冷静に受け止めています。延期の決定に従って1年間鍛錬します。

昨年7月のインタビュー取材時に笑顔で受け答えする羽根田卓也=東京都江戸川区で2019年7月22日午前10時50分、北山夏帆撮影

 ――調子の好不調に影響しませんか。

 ◆もちろん20年7月に開幕する東京五輪に向けて4年間調整してきました。しかし、日程が変わったからといって調子に影響するとは思いません。競技によっては少なからず年齢に影響されることはあるかもしれませんが、カヌーのスラロームは年齢のピークはないと思っています。50歳までバリバリやれるとまでは言えませんが、欧州の選手を見ても30代後半で全盛期を迎える選手もいれば、10代が全盛期という選手もいます。ですのでピークは考えないようにしています。

 ――ピークを合わせるという考えは持たないということでしょうか。

 ◆ピークは自分の調整だけで左右されるものではありません。大会を意識した上で、けがをしない万全の体調作りは心掛けますが、狙った通りに作りづらいピークは考えないようしています。スラロームでいえばコースのセッティングが合っているとか、他の選手の調子で自分の成績が良くなることもあります。調子の良しあしは巡り合わせもあるからです。五輪が1年延期になっても、自分の伸びしろを感じているので、さらに経験を重ねて技術を磨ければと考えています。

希望を持って、前向きな気持ちを社会に還元

 ――いつごろから延期の可能性を考え始めましたか。

 ◆3月10日にオーストラリアでの合宿から帰ってきて、今年の開催は厳しいと思っていました。スロバキア人のコーチが母国に帰り、イタリアやフランス、ドイツといった欧州での新型コロナウイルスの感染状況を直接聞いた時に、「とてもじゃないけど五輪はできない」と思いました。外出禁止の状況で亡くなっている人も増えて危機感を感じました。

 ――3月中旬ごろになり海外選手から延期などの声が出てきました。

 ◆自然なことだと思います。自分はオーストラリアにいた時は状況が把握できていませんでした。ただ、帰ってきて欧州の状況を詳しく聞いて徐々に分かってきました。日本中が楽しみにしていた五輪を何とかやることはできないのかという思いはありましたが、当時の日本と海外の感染状況では少し温度差があったと思います。外国選手からそういう声が上がるのは自然なことでしょう。

自らのツイッターでタオル1枚でできるトレーニングを紹介するカヌーの羽根田卓也=ツイッターから

 ――ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて自宅でできるトレーニングの紹介を始めました。

 ◆オーストラリア合宿の時に別の選手のスロバキア人コーチから聞いた話があります。「活躍しているスポーツ選手は競技で成績を出すだけでなく、自分の経験やポジティブなエネルギーを社会に還元する義務がある」と言われ、考えさせられました。自分で何かを還元したいという気持ちで動画をツイッターに投稿しました。「自宅でトレーニングなどをしながらポジティブに過ごしましょう」との思いを込めました。

 ――本番までの1年をどう過ごしますか。

 ◆今季の大会がどうなるのか分からないので、今は体力を維持するようにしています。社会の流れを見極めながら自分にできることをやるしかありません。希望を持って過ごします。

はねだ・たくや

 愛知県豊田市出身。種目はスラローム男子カナディアンシングル。高校卒業後からスロバキアを拠点とし、2008年北京大会で五輪初出場。12年ロンドン大会に続いて出場した16年リオデジャネイロ五輪では、カヌーで日本初の表彰台となる銅メダルを獲得した。

2020

浅妻博之

毎日新聞東京本社運動部。1982年、新潟市生まれ。スポーツ紙で校閲業務をして、2007年入社。山形支局、東京運動部、大阪運動部を経て、18年10月から東京運動部でテニス、バスケット、カヌーなどを担当。リオデジャネイロ五輪も現地取材して、テニス取材も全豪、全仏、ウィンブルドン、全米の4大大会を制覇した。高麗人参エキスを毎朝飲んで、健康維持を目指す。