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コロナ禍への経済対策として、現金を一律で1人当たり10万円支給することが決まった。
政府は、収入が大きく減った世帯に限って30万円を支給することを7日に決めたばかりだ。そのための予算案を提出する前に、いったん決めたことを覆し、新たな対策を盛り込むのは異例の対応だ。迷走も甚だしい。
「1人一律10万円」案は、当初から検討されていた。見送りになったのは、財務省の抵抗が大きかったからだ。
支給には、約12兆円かかる。リーマン・ショック時に首相として定額給付金支給を決めた麻生太郎財務相は、その大半が貯蓄に回ったことを理由に反対した。
ただ、10万円案は、公明党が求め、自民党内でも賛同意見が多かった。見送られたのは、立憲民主党や国民民主党など野党も同様の案を政府に提案していたからだろう。野党の案には同調したくないとの思いが官邸側に強かった、との指摘も出ている。
「1世帯30万円」案は不評だった。毎日新聞などが実施した世論調査では、この案について「不十分だ」との回答が46%で、「妥当だ」の22%を大きく上回った。
給付要件が複雑で分かりにくく、家族の人数は関係ないことへの不公平感がある。何より対象が全世帯の約2割でしかない。
先週末の複数のメディアの世論調査で、内閣支持率は低下し、不支持率が上回っていた。いったん消えた一律10万円案が再び浮上したのは、世論の批判に耐え切れなくなったからだろう。
現金支給の最大のポイントはスピードだ。財務省は、リーマン時の定額給付金の支給が予算成立から本格実施まで2カ月以上かかったことを理由に、一律に10万円を支給する案に反対してきた。安倍晋三首相も記者会見で「手に届くまで3カ月くらいかかる」と説明していた。
政府は今回、所得制限を設けない方向だ。スピードを重視した対応だろう。ただ、最初から決断していれば、支給までの期間を短縮できたはずだ。
政府は、10万円案を盛り込むために補正予算案を組み替える方針だ。これにより、国会への提出は遅れる。迷走のツケは大きい。
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