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緊急事態宣言の対象拡大 補正組み替え「大義」のため政治判断か 7都府県以外の感染者増も背景に

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新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、緊急事態宣言を全都道府県に拡大すると表明した安倍晋三首相(左から2人目)=首相官邸で2020年4月16日午後8時26分、佐々木順一撮影
新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、緊急事態宣言を全都道府県に拡大すると表明した安倍晋三首相(左から2人目)=首相官邸で2020年4月16日午後8時26分、佐々木順一撮影

 政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「緊急事態宣言」を東京都など7都府県に出してから、わずか1週間余りで対象を全国に拡大した。7都府県から他県への移動による感染拡大を懸念し、対策が急務と判断した。一方で、対象拡大は、政府・与党で急浮上した「1人当たり10万円の現金給付」に伴う今年度補正予算案組み替えの「大義」とするため、「政治判断」したとの思惑も見え隠れする。

 「今回、緊急事態宣言を全国に拡大することで、全ての国民にさらなる協力を頂くことになる。緊急経済対策では収入が著しく減少し、厳しい状況にある家庭に限って1世帯当たり30万円の給付を予定していたが、この際、これに代わり、さらに救済対象を拡大した措置を講ずべきだと考える」

 安倍晋三首相は16日の政府対策本部の会合で、宣言の対象拡大を受け、一律10万円の現金給付を行う意向を表明した。ただ、この「順番」を巡っては、懐疑的な見方も広がっている。

 政府は一律10万円の現金給付を盛り込むため、16日になって2020年度補正予算案を組み替える方針を公明党に押し込まれる形で決めた。だが7日に閣議決定したばかりの補正予算案の組み替えは「首相の政治責任も問われかねない」(自民党幹部)事態だ。政府・与党内の理屈ではなく、「大義」が必要となる。

 自民幹部はこう話す。「局面が変わって宣言の範囲を全国に広げた。フェーズが変わった。だから経済政策も変える。総理がそう判断したということだ」。宣言の範囲拡大を大義として、「補正組み替え」「一律10万円給付」につなげる筋書きだ。首相の発言はその流れに沿うものだった。野党の中堅議員は「10万円のための言い訳作りでしょ。もうメチャクチャだ」とあきれた様子だった。

 そもそも政府内では、宣言の対象地域を愛知、岐阜両県や京都府などを軸に、道府県単位での追加を検討していた。愛知、京都などは知事が追加指定を政府に求めていたが、まだ感染者が出ていない岩手県をはじめ、感染者数や拡大の経過に幅がある中で全国拡大に踏み切ったことで、政府はこれまでなかった「特定警戒都道府県」という概念を新たに創設。都道府県間に濃淡をつけた上で対象を広げた。

 方針変更は、諮問委員会にとっても唐突だった。諮問委は当初、17日午前開催の予定だったが、16日になって急きょ同日夕方に変更された。ある委員への連絡は開始3時間前だったといい、基本的対処方針の改定案は委員会開始後に職員が慌てて配布するドタバタぶりだった。委員の一人は「いきなり今日になった。全国に広げる議論もしていない。今までの議論は何だったのか」と漏らす。別の委員は「政治判断だ」と突き放した。

 委員の反発をよそに、事態が流動的な段階で補正組み替えを確信した自民幹部は、対象地域拡大が決まる直前にこう周囲に語って笑った。「『フェーズが変わる』のは今日、これからだ」【遠藤修平、…

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