「女・男の気持ち」(2020年4月9~15日、東京・大阪・西部3本社版計16本
)から選んだ「今週の気持ち」は4月12日、全本社版で掲載された投稿です。
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<今週の気持ち>
知らんぷり
神戸市東灘区・土方康子さん(主婦・66歳)
先日、長い春休みを持て余して遊びにきていた小学2年の孫と買い物に出かけた。帰り道、突然彼が足早に走りだしたので、「危ないよ。止まりなさい」と大声で呼び止めた。
孫は私の声に振り返り、戻ってきた。「どうして走りだしたの」と問い詰めると、前を歩いていた2人の少年を追いかけていたのだった。少年たちは高校生のようで、スマホを見ながら歩いており、孫は「歩きスマホは危ないですよ」と注意するつもりだったらしい。私は思わず、「世の中にはいろんな人がいるから、むやみに話しかけたらだめよ」と言った。こんな小さな子どもに注意され、逆上されたらと思うと怖い。
しかし、帰宅してからしばらく考えてみた。本当に私の対応でよかったのか、と。この年まで、それこそたくさんのいけない行動をしている人を見たが、勇気を持って注意したことは数えるほどしかない。注意しようと思うときは、相手を見て、あきらかに自分より弱そうな人を選んでいる。大半は、関わり合うと怖いというのが先に立ち、どうなろうと自分には関係ないので、見て見ぬふりをしてきた。
これから成長していく孫に、自分と同じように知らんぷりするよう教え込むのが正しいのだろうか。それとも、「恐れずに、悪いことは悪いと、はっきり言える人になりなさい」と教えるのがいいのか。もんもんとしている。
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<担当記者より>
「確かに、どんなふうに教えればいいのだろう」。投稿を一読して、私自身も考えてしまいました。土方さんに電話をすると、「孫の純粋なところを叱ってしまった」と悔やみ、「みなさんの考えを聞いてみたい思いもあって投稿しました」と話してくれました。
日々の生活の中で、マナー違反や迷惑行為を見ることは少なくありません。でも、注意すれば「逆ギレ」が怖い。とはいえ、相手を見て態度を変えるのも、じくじたる思いがあるし。私も土方さんと同じような思いです。少し考えて思ったのは、お孫さんに「あなたの言う通りね」と、一言肯定したうえで、危険が伴うことも教えるということでしょうか。難しいですね。
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