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<楽庫(らっこ)>
ペーパーカッツは、ポルトガル人クリエーター/プロデューサーであるブルーノ・ミゲルがもう10年以上も続けている個人プロジェクトである。彼が創意のもと積み上げたエレクトロサウンドに響く感覚を抱えた女性ボーカルが乗ることで、その表現は完成される。おもしろいことに彼は録音やツアーのたび、新鮮さを保とうとするかのように、女性シンガーを代えている。今回はロウンというニュージーランド出身のシンガーを伴い実演をした。
エレクトロミュージックはポピュラー音楽のなかでも制作手法を共有しやすく地域性が出にくいジャンルと言えるが、英語の歌詞が採用されるペーパーカッツの楽曲もまたインターナショナルな地平に立つ。とはいえ、随所にひたひたとした流動性を抱えていたり、メロディーが祈りと言いたくなる情緒をまとっているあたりは、ミゲルが求める個性だろう。そうした美点は生の場でも無理なく開示され、その表現は“欧州的な幽玄”とも言う…
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