毎日新聞
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歴史的な大勝と言えよう。韓国総選挙で、与党側が地滑り的勝利を収めた。来月で就任から3年となる文在寅(ムンジェイン)大統領にとっての中間審判だった。
評価されたのは新型コロナウイルス対策だ。
新興宗教の教団で大規模な集団感染が起きたが、徹底的な検査と隔離で拡大を食い止めた。感染しても無症状の人や軽症者を病院以外の施設に収容する取り組みもスピーディーに進め、医療崩壊を防いだ。
感染者の移動経路を公開して感染ルートを徹底的に追う対応にはプライバシー侵害の懸念が残るものの、韓国の国民は納得しているようだ。
任期5年で再任のない韓国の大統領にとって、この時期に強い政権基盤を手にするのは異例のことだ。文政権は、この力を使って宿願である検察改革などを一気に進めようという構えを見せる。
ただ、文政権がこれまで反対派の意見に耳を貸さない姿勢を続けてきたことは懸念材料となる。2年間の残り任期ですべてを実現させようと焦ってはいけない。丁寧な議論を通じて改革を実現させた方が、成果を長期的に定着させられるはずだ。
任期後半に強い政権基盤を得たことを対日政策でも前向きに活用してもらいたい。
過去の政権では、求心力の失われる任期末になると日本との関係が悪化することが多かった。だが今回は、強い政権として難題にも取り組めると考えてはどうだろうか。日本との歴史問題に厳しい視線を向けてきたのは現政権を支持する進歩派だ。だからこそ、文氏が取り組めることがあるのではないか。
徴用工問題では昨年末、韓国国会議長らが解決を図るための法案を議員立法で国会に提出した。日本側にも好意的な受けとめがある。こうした努力を無にしないよう考えてほしい。
残念なのは、新型コロナ対策ですら両国間の意思疎通がうまくいっていないことだ。韓国の知見に学ぶ点が多いことは、日本側も率直に認めるべきだろう。
深刻化する相互不信の解消には、こうした分野での協力の積み重ねが欠かせない。
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