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コロナ対応「短距離じゃなくてマラソン」 NYの日本人医師が語る治療の難しさ

石川源太医師

 新型コロナウイルスの感染拡大が日本でも勢いを増している。重い肺炎などを引き起こすが、確立した治療法はない。米国で感染拡大の「震源地」となったニューヨークの医療現場ではどのような治療が行われ、医師は何を感じているのか。ニューヨーク市のマウントサイナイ病院の集中治療室(ICU)で患者の治療にあたる呼吸器集中治療医、石川源太医師(39)に聞いた。【ニューヨーク隅俊之】

 ――ニューヨークで感染拡大が始まって1カ月以上が過ぎた。治療にあたって実感するのはどんなことか。

 分からないことが多い。普段診ているぜんそくや細菌性の肺炎には、治療法がある。細菌性の肺炎なら抗生物質を投与すれば、呼吸状態も良くなる。「よし、効いたな」という瞬間、医師として納得できる瞬間がある。しかし、新型コロナはそれがない。特効薬がなく、症状が急変して亡くなる人もいる。私は果たして患者の病気を治せているのだろうかと、もどかしい気持ちになる。悪くなった理由がよく分からないのだから、逆に良くなっても、なぜ良くなったのか正直よく分からない。ウイルスをコントロールするのが難しい。医者になってからこんな感覚になるのは初めてだ。

 ――ニューヨークでは重症化して人工呼吸器につながれると、8割が助からないとされる。

 理由の一つには、急に炎症が肺全体に広がるため、急いで人工呼吸器をつけても既に治療が難しいということがある。多いのは、救急で病院に運び込まれて12時間以内に肺炎があっという間に広がり、人工呼吸器が必要になる人だ。だが、小さな肺炎があるくらいで、1週間ほど一般病棟で診ていたら肺の炎症が急に広がり、ICUに運ばれるという人もいる。悪くなる時には急変するのだが、なぜそうなるのか分からないことが多い。

 また、ICUに入ってから人工呼吸器につながれている期間が長くなっている。肺炎がひどくなると低酸素血症で血中の酸素が低下し、呼吸回数が多くなるため呼吸筋の疲労が起きる。これらを防ぐために人工呼吸器をつける。だが、人工呼吸器と呼吸のタイミングが合わなくなることがあり、多量の鎮静剤、時には筋弛緩(しかん)剤を投与せざるをえない。すると、日ごとに呼吸筋が弱ってくる。人工呼吸器につなぐことで肺炎は改善することが多いが、その間に自力呼吸に必要な筋肉が弱っていくので、人工呼吸器を外すに外せなくなる。そういう状態が長く続く患者が多い。

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