連載

くらしナビ・ライフスタイル・柏澄子

毎日新聞デジタルの「くらしナビ・ライフスタイル・柏澄子」ページです。最新のニュース、記事をまとめています。

連載一覧

くらしナビ・ライフスタイル・柏澄子

わくわく山歩き 白神山地 果てしなく、青い山並み

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
ブナの原生林が広がるコアエリアにある「クマゲラの森」=青森県鰺ケ沢町で2013年、小川昌宏撮影
ブナの原生林が広がるコアエリアにある「クマゲラの森」=青森県鰺ケ沢町で2013年、小川昌宏撮影

 幾重にも続く青い山並み。そんな果てしない景色を見たのは、初めてだった。30年以上前、大学2年生の春、黒崎から白神岳に登ったときのことだ。この時の計画は、白神岳から南下したのち、行く手を東に変え、真瀬岳に登り、二ツ森までたどるというものだった。

 稜線(りょうせん)を歩き始めて半日ぐらいたった頃、さっそく迷った。もともと夏でも登山道がない稜線であり、残雪の上を歩き、時にやぶこぎをしていた。コンパスと地形図を見直したのち、一人が木に登り、周囲の展望を確かめることにした。そうしたら、たどるべきだった稜線が、隣に見えてきた。私たちは1本稜線を間違えたのだ。そんな散々な結果だった。それでも忘れられないのは、ブナの森と雪の中に張った私たちのテントが、おそろしいほど周囲の景色から浮いていたことだ。当時の私は、山といえば、穂高と剱(つるぎ)と八ケ岳、それに南アルプスぐらいしか、よくは知らなかった。全く人の気配がしない世界に驚き、その原始的なにおいのする場所に強くひかれるようになった。

 翌年も、懲りずに春の縦走を計画した。今度は北上し、向白神岳に向かうものだった。スキーを使って白神山地のへそのような位置にある摩須賀岳に登ったこともあった。夏になると、クマゲラの森を訪ねたり、追良瀬川と赤石川をつなぐ沢登りをしたりした。夏は、雪の季節とは違った格別な美しさがあった。ブナの緑の葉がみずみずしい。登山道はないので、沢を登りながら移動していくのが効率がいい。マタギたちは、そうやって猟をし…

この記事は有料記事です。

残り574文字(全文1214文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集