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ブラック・チェンバー・ミュージック

/256 阿部和重 写真・相川博昭

 

「なるほど、ではそういうふうにしといて、どっちにしても連絡時に相談てことで」

「OK――もういい?」

「最後に一個」

「なに?」

「よそでも身内でも、こいつやっちゃうせいで揉(も)めそうな相手とかっています?」

「いないよ」

「ならこっちは大丈夫です」

         ●

 その夜、横口健二は持ち物のチェックを受けてから地下一階の小部屋に閉じこめられた。ここももともとは診察室や検査室のひとつだったのか、物品がほとんどないなかに事務机と診察台だけが放置されている。

 幸い診察台へ横になってやすむことはできたが、当然ながら寝つけるわけがない。おまけに脳裏で延々ピーター・セテラが唄いつづけ、首を絞められ蟹(かに)みたいに泡を吹いたり股間を全力で殴打され睾丸(こうがん)が破裂したりするイメージが浮かんでは消えるをくりかえしていたため、頭がおかしくなる寸前だった。

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