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独メルケル首相、台湾・蔡総統…新型コロナ対応で株を上げた女性リーダーたち

首脳会談や記者会見などで常に余裕のある笑顔を見せるドイツのメルケル首相=ベルリンで2018年7月20日、ベルリン支局助手メルリン・ズグエ撮影

 パンデミック(世界的大流行)となった新型コロナウイルスの累積感染者は、米ジョンズ・ホプキンズ大のまとめで20日に240万人を超え、死者も16万5000人以上に達した。国や地域によって対応に相当の違いがあり、評価を大きく上げた政治リーダーもいれば批判の集中砲火を浴び続ける国家首脳もいる。主な国、地域での現状を眺めると、「株を上げた」女性指導者の姿が目立っている。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

 「素晴らしい」「理性的」。ドイツのメルケル首相の新型コロナウイルス対応を、普段は辛口の欧米メディアも評価している。ドイツの国際放送ドイッチェ・ヴェレの記者は、感染抑止の必要性に関し物理学者でもあるメルケル氏が4月15日の会見で行った説明が優れているとして、英語字幕を付けた動画をツイート。AP通信も3月末の記事で「コロナウイルス危機対応で輝くメルケル」と評価した。英ガーディアンは4月2日付記事で、メルケル氏の支持率が3月末の世論調査で11ポイント急上昇し79%に達したことに触れ「驚くべき数字」と述べた。

 「ドイツ第2公共放送」が4月6~8日に1175人を対象に行った定例の世論調査では、74%が政府の感染抑止策を評価した。最大500億ユーロ(5兆8500億円)の中小企業や芸術家向け給付金などの経済支援対策も69%が支持した。

 多数の死者を出しているイタリア(2万3660人)、スペイン(2万453人)、フランス(1万974444人)、イギリス(1万6095人)に比べ、ドイツの死者数は4642人(いずれもジョンズ・ホプキンズ大調べ20日午前)と相対的に低い。

 メルケル氏の人気の背景には、危機の最中でも冷静に対策の必要性を説き、影響を受ける人々に手厚い経済支援を提供する一方、感染被害の抑止にも一定の成果を出している点がありそうだ。

 メルケル氏は15日、中小規模店舗の20日からの営業再開を認める一方、3人以上で集まることなどを禁じた接触制限を5月3日まで延長した。

 台湾の累積感染者数は420人で、死者は6人と少ない。早期の水際対策と徹底した隔離対策が効力を発揮したとされ、「世界最高レベルの対応」(米CNN)と評価されている。

 3月19日に外国人の入港禁止措置を実施。海外から戻った人や濃厚接触者に14日間の隔離を義務づけ、違反者には最高100万台湾ドル(約360万円)の罰金を科した。マスク供給も政府が管理しており不足は報告されていない。

 また、歯科医でもある陳時中・衛生福利部長(衛生相)が連日記者会見を行い、記者の質問に徹底して回答。温かい語り口もあって「鉄人大臣」として国民の信頼を獲得した。また、唐鳳(オードリー・タン)政務委員(閣僚級)はIT担当として「マスク配布システム」を仕掛け、市民エンジニアらの協力でオンライン薬局在庫表示を推進した。台湾は16日、日本側にマスク200万枚を送ると発表している。

 こうした「専門家内閣」を率いる蔡英文総統の支持率は、3月末に地元TVBSテレビの世論調査(3月20~25日実施)で60%に達した。2月中旬の前回調査から6ポイント上昇している。防疫対策に満足だと回答した人は84%にも上った。

 蔡総統は4月16日、米タイム誌(電子版)への寄稿で「医療専門家や政府、民間と社会全体が防衛を固めた」などと述べ、社会が一丸となったことで成果が出たとの見方を示した。また、台湾では37人が死亡した2002~03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)対応の教訓が生きたとも説明した。

 ニュージーランドの女性首相ジャシンダ・アーダン氏も感染対策で高い評価を得ている。調査会社コルマーバートンが4月3~5日に実施した調査では、3月23日に発表された全土での外出制限措置など、政府の新型コロナウイルス対応を支持する人が84%に及んだ。日本を含む主要7カ国(G7)の平均は54%だった。

 首相自身の支持率は13日に発表された世論調査では過去最高の51%で、2月の結果から7ポイント上昇した。

 米誌アトランティックは、アーダン氏が「世界で最も効果的な指導者かもしれない」と持ち上げた。同国のクラーク元首相は「説教をするのでなく、我々と共に立ってくれる」と指摘、39歳のアーダン氏の共感を重視したリーダーシップを評価したという。

 ニュージーランドの累積感染者数は20日現在1431人で、死者は12人だ。

 一方、世界の男性指導者の中には批判に直面する人も目立つ。

 新型コロナウイルスの累積感染者が約76万人、死者約4万人で世界最悪となった米国では、野党民主党や一部主要メディアによるトランプ米大統領への批判が続く。

 「不要な死と経済的災厄をもたらした」。ペロシ下院議長(民主党)は14日、民主党下院議員あて書簡でトランプ氏の感染抑止策などを厳しく指弾した。米国では…

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和田浩明

1991年4月入社。英文毎日編集部、サイバー編集部、外信部、大阪社会部を経て2003年10月から08年3月までワシントン特派員。無差別発砲事件、インド洋大津波、イラク駐留米軍や大統領選挙を取材。09年4月からはカイロに勤務し、11年1月に始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」をチュニジア、エジプト、リビア、シリア、イエメンで目撃した。東京での中東、米州担当デスク、2度目のワシントン特派員などを経て2019年5月から統合デジタル取材センター。日本社会と外国人住民やLGBTなどの今後に関心がある。

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