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コロナショックの現場から

退職勧奨、消える周囲の人 それでも「友好」目指す在日中国人 マスク配布、同胞も支援

2月29日、JR池袋駅前で中日ボランティア協会も参加した「マスク・パンダ・アクション」活動で、マスクを配るボランティアら=張剣波さん提供

 「中国ウイルス」。あえてそんな呼び方をする政治家がいたように、インターネット上では最初に新型コロナウイルスの感染が報告された中国を非難する声も目立つ。しかし、中日ボランティア協会会長の張剣波さん(55)は元気だ。掲げるのは「日中友好」の原則。マスク不足に悩む日本社会にマスクを無料で配り、「退職勧奨」を受けた同胞を支援する。初来日から30年以上たつ張さんに、「コロナ時代」の東京で生きる思いを聞いた。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

「節約マスク」日本で配布

 --マスクを集めて中国に送ったり日本で配ったりしましたね。

 ◆1月ごろは中国の状況が大変だったので、中日ボランティア協会や在日中国人の有志が寄付を募ってマスク約1万5000枚を中国に送りました。

 2月に入って中国が多少落ち着き出す一方で、日本でマスクを買えない人が増えてきました。中旬に協会事務局長の郭磊さんが、中国人の多くが使うメッセージアプリ「微信」で「マスク不足で一般の人たちが大変なことになっている。日中友好のあらわれとして、(日本の自治体などが中国にマスクを送ってくれたことへの)恩返しの気持ちとして日本で配れないか」と提案しました。

 買って配れば、入手しにくい人から奪うことになります。そこで関係者が議論し、在日中国人に呼びかけて、おのおのにマスクの使用を節約して寄付してもらうことにしました。日本人との摩擦が生じないやり方で、日本の役に立つことをしよう、という考えからです。

 不要不急の外出や集会は控え、買い物の回数を減らしたボランティアから提供してもらったマスクが5000枚集まるごとに配りました。2月29日に池袋で、ボランティアが1人2枚ずつ配布しました。

 その後、日本でも感染拡大が続き、人が集まるような配布方法は好ましくないということで、地元の福祉協議会などのアドバイスももらい、今後は区役所や病院、老人ホームなどに寄付することを考えています。

今後の差別的言動に懸念

 --ネット上などでは中国への差別的な発言も見られます。

 ◆欧米社会では中国系だけでなくアジア系の人たちに対して露骨な差別があるようですが、日本社会はそこまでのことは無いと思っています。

 ただ、中国人の知人と喫茶店やレストランに行って中国語で話していると、周囲のお客さんがいなくなることがあって、「あれ」とは思いました。

 これから外出自粛などでストレスがたまっていくと、差別的な言動はもっと出てくるのかもしれません。そういう状況にも注意していかなければいけないと思います。

 ネット上にはいろいろな中国批判が出ています。一般的に、経済や社会が危機的状況になると、弱者切り捨ての傾向が出てくる。外国人も弱者の一部だと思います。

「中国に里帰り後に出社させず」相談も

 --差別的事例の相談はありましたか?

 ◆山形県に住む中国人女性からは、春節…

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和田浩明

1991年4月入社。英文毎日編集部、サイバー編集部、外信部、大阪社会部を経て2003年10月から08年3月までワシントン特派員。無差別発砲事件、インド洋大津波、イラク駐留米軍や大統領選挙を取材。09年4月からはカイロに勤務し、11年1月に始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」をチュニジア、エジプト、リビア、シリア、イエメンで目撃した。東京での中東、米州担当デスク、2度目のワシントン特派員などを経て2019年5月から統合デジタル取材センター。日本社会と外国人住民やLGBTなどの今後に関心がある。

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