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余録

天国で下界の人の行いがすべて見える神様の椅子に座った仕立屋の物語が…

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 天国で下界の人の行いがすべて見える神様の椅子に座った仕立屋の物語が、グリム童話にある。彼はベールをくすねようとする女を見つけて腹を立て、足台を投げつけた▲それを知った神様は、仕立屋に説教をする。「私がお前のように罪を裁いてきたら、お前はどうして罪を免れたというのか。罪人すべてに物を投げていたら、天国に物がなくなってしまう。私以外は誰も人を罰してはならないのだ」▲スマホの位置情報や監視カメラの顔識別で誰の行動も把握できる「デジタル監視社会」の管理人も似たことを言うだろう。監視はいちいち悪事を罰するためではないと。個々人の心に監視の目を植えつけ、行動を管理するためなのだ▲新型コロナウイルスの感染追跡や、外出規制策にデジタル監視が世界的に広がっている。かねて「監視社会」と批判されてきた中国の感染抑制策の成果などから、人権に目をつぶった監視社会が「コロナ後」の世界のニューノーマル(新常態)になるとの声まである▲日本でも匿名化したスマホの位置情報を統計データにし、繁華街の人出を示す試みが始まっている。利用者の同意を前提に、どこかで濃厚接触した人の感染が判明した場合には通知してもらえるスマホアプリの運用が来月にも始まる▲個人を特定したスマホ情報の無断利用はできない日本だが、世界的にはプライバシーの基準を変えかねぬウイルスとテクノロジーの相克(そうこく)である。民主主義という文明の底力が問われる「コロナ後」への道筋だ。

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