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スベり知らず!の最強高座 春風亭一之輔が10日間、落語を生配信

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生配信で演じる春風亭一之輔=春風亭一之輔提供
生配信で演じる春風亭一之輔=春風亭一之輔提供

 午後8時10分きっかり、おなじみ「さつまさ」の出ばやしが流れ、上手から春風亭一之輔が登場する。が、なんだかいつもと雰囲気が違う。そう、「待ってました」のかけ声も拍手もないからだ。

 4月下席(21~30日)の10日間、東京・上野の鈴本演芸場でトリを取るはずだったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で寄席の灯は消えてしまった。代わりにYouTubeの生配信で“高座”をつとめようという粋な試みなのだ。しかもトリが上がると思われる時間にスタートするという、こだわりようである。

 落語界の人気者であり、メディアでも大活躍だけに、視聴者数もハンパなく多いが、投げ銭とかはない。「おいおい考えるかもですが、まずは間口を広く、無料でいこうかと」と一之輔。もちろん生の高座にしくはないが、逆境を生かして落語の裾野を広げようという思いが伝わってくる。

 目の前に客がいないとやりにくいのでは、と誰しも思うところ。「反応がないから、どういう間でやったらいいかよく分からないけど、スベることがない! 常にスベり知らず! いっつも爆笑なんです。気の持ちようですよ」と第2夜の冒頭で語った一之輔。「昨日(第1夜)もめまいがするくらいの爆笑でした。このまま配信芸人でいいか!」とさすが、肝のすわった噺家(はなしか)らしい。

 落語の方はというと、第1夜からいきなりエンジン全開だ。十八番の古典「初天神」に入り、それで終わるのかと思いきや、町奉行の大岡越前が登場。これはもしや、と思ったら、やはり政談物に仕立てた自作の「団子屋政談(『初天神』改)」へ。

 前半の「初天神」も、一之輔はかなりアレンジを利かせている。屋台でアメやダンゴを買ってくれとせがむ一之輔のミニ版のようなこまっしゃくれた金坊と、子どもにいいように手玉に取られる…

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