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新型コロナ対策 国と地方の「権限分担」あいまい 特措法、7年前の「警鐘」

新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定された「国」と「地方」の主な権限

 新型コロナウイルスの感染拡大に対応する「国と地方」の役割分担が錯綜(さくそう)している。改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、外出自粛や休業を要請する権限は法的には主に知事にある。だが緊急事態宣言発令に伴って改定された「基本的対処方針」では、自粛要請を「国に協議の上」行うとの文言が入り、国の関与が後付けで設定されるなどしている。権限を得た知事たちも、「財源なき権限」に戸惑いながら対応しているのが実情だ。【秋山信一、竹地広憲】

後付け規定で政府主導

 国と地方の関係は、23日に政府から都道府県に送られた三つの通知に象徴されている。①特措法45条に基づき、より強く休業を求める「要請」と「指示」を知事が出す場合のガイドライン(指針)②行楽を主目的とした旅行と宿泊を、市民と事業者に抑制することを促すよう知事に求める通知③商店街、スーパー、公園での混雑緩和対策を講じることを促す通知――だ。

 特措法では本来、外出自粛の期間や範囲、休業を要請する施設などを判断する権限は各知事にある。政府は基本的対処方針に基づいて「総合調整」にあたり、必要な場合は知事に「指示」を出す権限はあるが、基本的には知事の権限が強いのが法律の構造だ。

 安倍晋三首相も、4月7日の記者会見で最初に宣言対象となった7都府県での外出自粛を求めた際に「特措法上の権限はあくまで知事が行使するものだが、政府としてみだりに外出しないよう(知事が)要請すべきだと考える」と法律の構造を意識した発言に徹した。

 一方、事実上の指示である23日の通知は、政府が特措法の権限とは関係なく出したものだ。①の指針の根拠は、4月7日に改定された対処方針にある。知事による休業要請は「国に協議の上」行うとし、国が関与する仕組みを明文化。名指しで休業を求める45条適用に自治体が前のめりになる中、過剰な私権制限にならないよう「事前通知」など具体的な手続きを示した。

 ②や③は知事が行う住民・事業者への協力要請を促すため、政府が基準を示したものだ。特措法を所管する西村康稔経済再生担当相は23日の記者会見で「私たちは専門家の意見を聞き、感染状況を見ながら、各地域で知事が適切に判断できるようサポートしている」と説明した。

 政府は4月16日に緊急事態宣言を全国に拡大した際も対処方針を改定。特措法にはない「特定警戒都道府県」という概念を作り、13都道府県には休業要請、34県にはまずは外出自粛要請を促した。このように、実際には政府が対策を主導している。東京や大阪などの知事たちの突き上げで政府が動いた側面もあるが、一部自治体の鈍い対応による対策の不均衡を、「通知」によって是正する側面もある。

 それでも政府が万能なわけではない。各地の感染状況の情報は、保健所を持つ都道府県や政令指定都市など「地方」がまず、まとめる。その上で厚生労働省に情報が報告されるが、政府関係者は「感染者向けの病床数や、国が確保したマスクの配布先を報告してこない自治体もある」と不満を漏らす。首相周辺は「国は総合調整の権限しかない。知事が『従いません』と言えば、それまでだ」と国の限界を吐露した。

財源なき権限…対応バラバラ

 特措法は、2009年の新型インフルエンザ流行を受けて「国、地方公共団体の体制整備や責任の明確化」などを目的に策定された。「地域主権」を掲げた当時の民主党政権は、外出自粛や休業の要請ができる権限を知事に付与した。

 12年4月の参院予算委員会では、09年当時の厚労相だった舛添要一氏が質問に立った。「大阪(府)の橋下(徹)知事が『何とか助けてくれ』と携帯電話へかけてきた。それ…

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