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「アベノマスク」回収劇 スピード重視裏目 きしむ政権、求心力ひび

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世帯向け布マスクの内訳
世帯向け布マスクの内訳

 新型コロナウイルスの感染を防ごうと、政府が配布しようとした布マスクに汚れが見つかり、未配布分の回収に追い込まれた。スピード重視の政府がマスクメーカー以外の企業にも生産を要請して急がせ、結果として不良品が見逃されたのが実情だ。費用対効果を疑問視する声など配布前から何かと不満が多く、「アベノマスク」とやゆされている中、今回の「失態」で政権の求心力にも影響が出かねない情勢だ。

「いきなり全戸に」「随契で早く」

 「政府からとにかく早く納入をと要請され、検品作業を最低限にしたところ、不良品を見逃してしまった」。納入業者のうち、ある1社の広報担当者は24日、毎日新聞の取材にこう答えた。マスクの生産は「政府からの強い要請」と繰り返し、安倍晋三首相の肝いりで「アベノマスク」とやゆされた取り組みのいびつさを言葉の端々ににじませた。

 首相が布マスクの全戸配布を表明したのは、4月1日の新型コロナウイルス対策本部だ。その場で首相は「布マスクは使い捨てマスクではなく、洗剤を使って洗うことで再利用可能で、急激に拡大するマスク需要に対応する上で極めて有効だ」とその意義を語った。さらに「国民の不安解消に資するよう速やかに取り組む」と強調した。

 「アベノマスク」は、経済産業省出身で首相に近い官邸官僚による進言が発端とされる。ある政府関係者は「妊婦や高齢者施設向けにマスクを配るという話は以前からあったが、それがいきなり全戸に配布するという話に発展した。内部での調整もスムーズではなく、十分に練られたものではなかった」と明かす。

 この表明を受け、厚生労働省は4月上旬に随意契約で興和と約55億円で、伊藤忠商事とは約29億円で布マスクの納入契約を結んだ。これは全戸配布の半分程度に過ぎない。残りは30…

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